クルックト・レイクのクレイジー・ホース

クルックト・レイクのクレイジー・ホース

クルックト・レイクのクレイジー・ホース

12008■クルックト・レイクのクレイジー・ホース(エピック:ESCA7853)
名盤・傑作ではないことは百も承知だ。
クレイジー・ホースはザ・ロケッツとして活動していたバンドでニール・ヤングに見出され「EverybodyKnows This Is Nowhere」('69)でヤングと共演の形でデビュー。ダニー・ウィッテン(g)、ラルフ・モリーナ(ds)、ビリー・タルボット(b)がここでクレジットされたクレイジー・ホースだけど、実際はロケッツ時代の同僚ボビー・ノトコフ(vn)、ジョージ・ウィッスル(g)さらには、ヤング、ニルス・ロフグレン(g,p)、ジャック・ニッチェ(kb)を加えた集合体をもさすことが多い。

そのクレイジー・ホースが単体でRepriseからデビューしたのが71年。この「At Crooked Lake」('72,Epic)は「Loose」に次ぐ3枚目。メンバーはリズム隊以外代わっていて、前作より参加のグレッグ・リロイ(vo,g,slide)、リック・カーティス(vo,g,banjo)、マイケル・カーティス(vo,kb,g)にモリーナ、タルボットの5人。

(1)Rock And Roll Band (2)Love Is Gone (3)We Ride (4)Outside Lookin' In (5)Don't Keep Me Burning (6)Vehicle (7)Your Song (8)Lady Soul (9)Don't Look Back (10)85 El Paso

基本的にタフなロックンロールとアコースティックなフォーク・ロックが信条だけど、オリジナル・メンバーの2人が曲を書かないということはやはりバンドにとってマイナスの要素で、今回外部から参加のカーティス兄弟(フロリダで活動していたことから同地にあるCrooked Lakeに引っかけたタイトルとなった)の色合いに染まっている。まずは稀代の名曲(2)のこと。夏の朝露を思わせるリロイの弾くdobroが素晴らしいメロディアスな曲。このクラスの曲があと1つあればクレイジー・ホースの代表作となったはず。ステイトン・ブラザーズを思わせる(3)、スニーキー・ピートのsteelの入ったカントリー・ロックの(4)(7)もこれに比べれば弱い。(5)は泥臭いスライドがこれでもかと迫るサザンロック・スタイルのブギだが、曲に魅力がないので半減。(1)はニール・ヤングと組んだ時の爆音的なロックンロール・バンドを思い出す。元同僚のボビー・ノトコフ(vn)が参加した(8)は、シンプルなロックンロールであと一つなんだな。女性voはパティ・モーン。

ウィッテンがドラッグのオーヴァードースで命を落とすのはこの72年のこと。それに関してはニール・ヤングの「Tonight's The Night」に詳しい。