1曲だけならまだしも、複数のそういう曲が詰まったクリスマス・アルバムとなるとどう考えても季節もの商品で、おそらくは欧米のクリスマスのホーム・パーティーのBGMとして需要があったんだと思いますが、そういう習慣がない僕には、もう昔から季節が異なると違和感ありまくりの存在でした。フィル・スペクターが自身のレーベルPillesのアーティストたちにスタンダードや自作のクリスマスソングを歌わせた「A Christmas Gift For You」('63)は、その為にだけにあらかじめ作られたオムニバスとしては、先駆者であり定番の1枚です。ただ”そういう季節物商品の枠を超えた永遠のスタンダード”という評価をいつも見かけますが、クリスマス曲はそのシーズンに聞くものという固定観念がある僕は(^^)、いくらスペクター好きと言ってもほとんど聞きませんねえ。最初に買ったのが英Phil Spector Internationalから出たベスト盤と抱き合わせになった安直ジャケの2枚組、次が当時MMGから出た単体のCD化(これが出て次はボックスだ!と期待させたけど契約関係でポシャりました)、その次がAbckoから出た箱「Back To Mono」に強引に組み込まれ買わされました。ちなみにその箱時代CD4となってたこのCDを一度も聞くことなかったです。
さて今日はここからロネッツの"Sleigh Ride"をあげときましょう。イントロとコーラスのこれから起こることへの期待感は、やはりクリスマスって子供たちのものだなあと感じさせます。ウエットなヴェロニカ(=ロニー・スペクター)の歌声は、聴き手の好みを選びますが、僕は大好きです。この曲の肝はSEのあとスコッって感じで入るハル・ブレインのdsですね。
63年というまさに上り調子だったPhillesの威光を力づくで示した1枚はブリティッシュ・インヴェイジョン前夜のアメリカの白人一家のクリスマスの必需品だったはずです。