1970年4月10日のポール・マッカートニーの突然のビートルズ脱退宣言から約1週間後、突然のリリースとなったのが、ポール&リンダ・マッカートニーのクレジットの「McCartney」('70)です。スコットランドのポールの農場で秘密裏に録音された元祖宅録な1枚。ビートルズのメンバーの本格的初ソロということもあって、チープな内容ながらセールス的には好評。しかしプレスは酷評というのが当時の状況でしたが、去年だか拡大版が出ました。さびしげな”Junk”、力強い”Every Night”、美メロな”Maybe I'm Amazed”以外はインストっぽい小品中心で、やはり飛ばしてしまいますが…
91年のMTV Unpluggedの”Every Night”。

その「McCartney」の中でひときわブルージーなやつが”Miss Momma America”。
中学の頃聞いてた海外ラジオ放送のラジオ番組「Sony BCL Jockey」(富山敬さんが出てた)のエンディング・テーマでした。

"Maybe I'm Amazed"は、「McCartney」のハイライトである、というのは大方の意見で、僕も異存はありません。この曲を知ったのはウィングスの3LPライヴ「Over America」からのシングルでした。邦題は"ハートのささやき"で、そんなに有名な曲とは知らなかった。「McCartney」の拡大版には74年のOne Hand Clappingでのこの曲の映像がおまけで付いてたらしいです。つべで見れます。ロック的なarrは既に完成されています。

"Maybe I'm Amazed"のカヴァーではフェイシズが有名です。シングル・ヴァージョン、「Long Player」に入ったBBCライヴ、ボックスに入った別のBBCライヴなどいろいろあります。あとサンディー・ショウもやってたかな。

71年に入るとポールとリンダは「Ram」の録音に入りますが、先行シングルとして出たのが”Another Day”でした。実際は「Ram」と同じ頃の録音ではなく、もっと以前に完成してたらしい。名義はポール・マッカートニー、NYでヒュー・マクラッケン(g)、デニー・シーウェル(ds)、リンダ(kb)らとレコーディングされたもの。覚えやすいメロディーもさることながら、主人公の毎朝風呂に入って、髪をぬらし〜というくだりを説明する歌詞が、歌いやすくて気持ちいいです。

そのB面”Oh Woman Oh Why”こそもっと語られるべき曲な気がします。71年と言うとスワンプロックのブームの真っただ中で、ジョージあたりはそのあたりにどっぷりつかってましたが、多分ヒュー・マクラッケンのルーズなスライドの入ったこの曲こそ。ポール流スワンプ・ロックだったのかもしれません。途中に入った拳銃のSEは本物だったそう。