ウィングスの最初のシングルは、5人目のメンバーとしてグリース・バンドにいたヘンリー・マックロウ(g)を加えての”Give Ireland Back To Irish”('72)でした。72年1月の血の日曜日事件U2が後に”Sunday Bloody Sunday”で歌いました)にインスパイアされて作ったトピック・ソングで、BBCでは放送禁止になりました。イントロからマックロウの強力なスライドがあるのですが、この決めの部分のカッコよさに比べて他の部分がほんわかで、あとひとつ足らない感じがしますね。

"アイルランドに平和を"のB面は同曲のインストで、これはCD化されてなかったんじゃないかな。演奏もまったく別ヴァージョンです。意外とこっちの方がおもしろかったりして…

マックロウ(g)を加えた5人組ウィングスは、予告なしでゲリラ的な大学ツアーを敢行。結果的にこのライヴがバンドの力量を高めることになります。レパートリーは「Wild Life」を中心に新曲(”Soily”や”The Mess”も演奏)、マックロウが歌うブルーズやデニー・レインのエレクトリック・ストリングス・バンド時代のヒット”Say You Don't Mind”、後にリンダがソロで出す”Seaside Woman”なんかもこの頃のツアーで演奏されてました(やる曲がないから)。
結局オリジナル・アルバムには入らなかった”Soily”の'72ver

72年のツアーから動く映像も。”Wild Life”。

72年にはもう1枚シングルが出ました。"Mary Had A Little Lamb”(メアリーの子羊)は、ファミリー・ムードのほんわかした曲。Lambがポール&リンダの「Ram」と引っ掛けてあるのか分かりませんが、このシングルのせいで「Ram」を羊のアルバムとイメージしてしまいがちです。歌詞は有名な同名の童謡から取られてますがメロディーはオリジナル。政治的なメッセージソングが放送禁止になったことで、今度はファミリー路線を狙った、とまたもポールはプレスに揶揄されることになります。
英米ではウィングス名義でしたが日本では”アイルランド”同様ポール・マッカートニー&ウィングス名義。メアリーとヘザーの子供たちのコーラスもフィーチャー。
73年のJames Paul McCartney ショーから。ポールがピアノ弾いてるんでリンダは、やることなくブランコをこいでます。レインはともかくマックロウはイヤそうな感じ。