■■ゴジラ対ヘドラ('71日本)

監督:坂野義光
出演:山内明、川瀬裕之、麻里圭子、柴本俊夫
対象を児童向けにはしているが、その中で精一杯実験的な試みをした意欲作。怪獣映画の名を借りた反公害映画としてもよくできています。当時の社会現象となった光化学スモッグやヘドロ公害などのトピックを取り入れた新怪獣「ヘドラ」の発想は平成ゴジラの怪獣たちに受け継がれています。不気味なアニメーション、サイケなライトショーとGS、シニカルな編集(ゴジラヘドラを振り回したあと麻雀の牌をかき混ぜるシーンへつながる快感)などなかなかすごいです。主人公を子供にするなど、チャンピオンまつりの制約を受けながら、作家性(坂野監督は黒澤組の助監督出身で、今回馬淵薫と共同で脚本も担当)も出したシリーズ最大の野心作だと思います。冒頭のサイケな"返せ太陽を"(作詞は坂野監督)を含め素晴らしい。