■マラソン・マン('76米)


監督:ジョン・シレシンジャー

ウィリアム・ゴールドマンが自身の小説を脚色、ジョン・シレシンジャーが監督した第一級のサスペンスです。ナチの残党ものというジャンルは、ミステリの中にも結構あって、映画化されたものでは、「ブラジルから来た少年」、「オデッサ・ファイル」、忘れた頃にドキドキさせますが、これは南米ウルグアイに潜んでいたナチの戦犯ゼル(ローレンス・オリヴィエ)が、ある事情でNYへやってくる話で、これに情報部員のロイ・シャイダーと弟、ダスティン・ホフマンが巻き込まれてゆきます。冒頭偶然からゼルの兄が交通事故死するが、このあたりの導入のうまさはさすが。ホフマンがアベベを尊敬するマラソン・ランナーであることから、このタイトルが付いてますが、走って逃げるシーンはそんなに多くない(公開当時その部分と、オリヴィエの拷問シーン(麻酔なしで歯を抜く)ばかりがクローズアップされました)。見所はむしろ、後半銀行を訪ねるオリヴィエを収容所に入っていた老ユダヤ人が見つけるくだりで、ここからラストまで一気です。