■深夜の告白('44米)


監督:ビリー・ワイルダー
初めてこの映画を知ったのは山田宏一氏の「映画的なあまりに映画的な美女と犯罪」(ハヤカワ文庫NF)でした。ワイルダー作品のなかでもなかなか見られなかった覚え。原作は「郵便配達夫は二度ベルを鳴らす」で知られる、ジェームズ・ケインの「殺人保険」。稀代の悪女バーバラ・スタンウィック(あの髪型ヘンだ)、濃厚なノワールなムードなど、後のイメージでは、ビリー・ワイルダーらしくないです。さすがに半世紀以上前の作品なので古くさいですけど、それをねじ伏せる物語性があります。こういったノワールの系譜は、70'sとだえてましたが、ローレンス・カスダンが、キャスリーン・ターナーを起用した「白いドレスの女」を撮ったことで、再燃。シャロン・ストーンの「氷の微笑」、レナ・オリンの「蜘蛛女」、シャーリーズ・セロンの「レインディア・ゲーム」と続いてゆくのです。