後期ゴング
アレン、スマイス、ヒレッジ、ブレイクと言う役者の相次ぐ脱退で弱体化すると思われたゴングは、むしろ音楽的に覚醒し言葉を捨てジャズ・ロック的なインストゥルメンタル・パートを強化して生まれ変わりました。中心となったのはピエール・ムーレン(ds)で旧メンバーが残っていた過度期の「Shamal」ではマイク・ハウレット(b)の歌う歌ものもありますが、それでも音はかなり変わってます。この辺はソロになったヒレッジも協力体制にあり一緒にツアーを廻ってました。ムーレンが連れてきたperc軍団の力技が発揮されたのが「Expresso II」('78)で、メンバーはムーレン、弟のブノア・ムーレン、「You」にも参加してたミレイユ・バウアという3人の打楽器奏者にハンスフォード・ロウ(b)の4人のみというリズム隊オンリー。これにゲストとしてミック・テイラー、アラン・ホールズワース、ダリル・ウェイらリード楽器がからむという世界。独特のオリエンタリズムを漂わせた濃厚なジャズロックの世界はもはやカンタベリーとかそういう枠から離れています。次の「Downwind」以降はピエールのソロ的色が濃くなり、表記もムーレンズ・ゴングになっています。動画の"Sleepy"はホールズワースの爬虫類的gを堪能できるうえに、ウェイの優雅なviolinまで味わえる一石二鳥な曲。もちろんperc軍団の高速marimbaなど聴きどころも多いです。
https://www.youtube.com/watch?v=Z800qugSfA4