10 ■■■バルカン超特急(’38英)

監督:アルフレッド・ヒッチコック
主演:マイケル・レッドグレイヴ、マーガレット・ロックウッド
イギリス時代のヒッチコックの代表作。70年近く前の映画なのに、さほど古くさくないのは見事。列車で老婦人が消失、周りの乗客はそんな人は最初からいなかったと証言するが・・・という話。この列車に入るまでの導入も鮮やかで、バルカン半島の架空の国、バンドリカのホテルで、雪崩のため足止めを食らった英国人の二人連れ紳士が狂言回しとなり(本筋とは関係なし)コミカルな味を出す。列車のシーンでは、紅茶、窓に書いた文字が、立派な小道具となっている。東欧の国を舞台にしたスパイ・サスペンスだが、第二次大戦勃発前夜らしいタイミング。後に「レディ・バニッシュ・暗号を歌う女」というリメイク作品が撮られるが、この邦題では、すべてをバラしてしまって興ざめだ。原作は、エセル・ライナ・ホワイトの「車輪は回る」だが、脚本に加わってるシドニー・ギリアッドは、英国産サスペンスの大傑作「絶壁の彼方に」の脚本も書いた。日本公開は76年になってからだった。

Lady Vanishes、British Gaumont、1h38、b&w

バルカン超特急 (トールケース) [DVD]