Rainmaker / Tarffic

ちょっと休んでたけど、復活。例によって単語つながりで3つずつ続けるやり方に戻します。
初めて買ったトラフィックのLPが、この「ロウ・スパーク・オブ・ハイ・ヒールド・ボーイズ」(’72)だった。変型六角形ジャケの1枚で、トニー・ライトがデザインを担当。高校1年だったけど、予備知識はほとんどなく、学校帰りに寄り道する、町のフツーのレコード屋に英盤が安価で転がってるのを見つけたから。こんな音楽もあるんだ!と未知の音楽への想像をたくましくした1枚だった。70’s後半当時は、こういうパンク以前の伝統的なブリティッシュロックは、Old Waveと片付けられていたし、そういったものを解説した本もなかったので、特にそう思ったのだろう。特にタイトル曲は、12分近い長尺のもので、混沌とした霧の彼方で聞こえるような音楽だった(余談ながら去年リッキー・リー・ジョーンズがカヴァーしてた事をネット仲間に教えてもらい、ビックリ)。それまでの手持ちでは、クラプトンに近いかなあ?と思ってクラプトン隙の友人に貸したら、「笛みたいなのが聞こえて眠くなった」と翌日突っ返された覚え。その「笛」はクリス・ウッドが吹くfluteで、そういえば、当時二つ下のflute吹きの少女にぞっこんだった僕としては(結果は撃沈だったけど(^^;;)、そっちからの興味もあったろう。ウッドは、冒頭の”Hidden Treasure”と"Many A Mile To A Freedom”そしてこのRainmakerで、fluteを吹く。ロックのジャンルでこの楽器を吹く人は、ジャズをルーツに持つ場合が多いけど、ウッドの場合は、それにブルーズやサイケデリックの要素もあって、タイトル曲で吹くsaxなんぞその最たるものだろうけど、Rainmakerでは、前半がflute、後半がsaxでこれもかなり無国籍風な演奏。特に前作から加わった、リック・グレッチ(元ファミリー)の弾くviolinもまたその色合いを強くする。
グレッチとジム・ゴードンの参加は、本作までで(自分たちの書いた曲をやってくれという要求もあって、ここでは”ロックンロール・ステュー”が取り上げられ、なんとシングルカット(しかも、Part1と2にわけAB面に入れるというもの)、次作からは、アラバマのマッスル・ショールズのリズム・セクションを起用して南部志向が強まっている。
72年という混沌とした時代を象徴した、ダラダラと冗長な作品、という評価もあり、今もって賛否両論呼ぶ1枚ではある。本国以上にアメリカで売れ#7まで上昇。
Low Spark of High Heeled Boys