Mr.Blue / Keith Carradine

I'm Easy: Lost & Found
色もの。
キース・キャラディンというと、ジョン(父)、ロバート(兄)、デヴィッド(兄)という俳優一家に生まれた人。ロバート・アルトマン監督の傑作「ナッシュヴィル」で歌った、”I’m Easy”が大ヒットし、アカデミー賞最優秀主題歌賞をもらったことによって、俳優業のかたわら、sswとしてもアサイラムから2枚アルバムをリリース。
エリック・アンダースンにも似たやや低い、色のある声だ。「Lost & Found」(’77)は2枚目で、俳優が片手間に作ったレコードとは思えない充実度。時代柄、音作りにスリルは求められないが、トニー・バーグ(g)、レイ・ネアポリタン(b/元オハイオ・ノックス)、ジム・ケルトナー(ds)、ジム・ホーン(sax)らをバックにした、音はオーソドックスでいて浮ついたところはあまりない。77年という時代の影響もあまり感じられないのが、逆におもしろい。ビートルズの”Rain”とならんで、このMr.Blueもカヴァーで、こちらはフリートウッズで有名なもの。原曲のよさを残しつつ、ノスタルジックなコーラスを生かした、素晴らしい出来だ。もう1曲、トム・ウェイツの”San Diego Serenade”のカヴァーもある。
CD化が遅れていたが、「I’m Easy」と2イン1の形で実現している。
さて俳優としては、「ギャンブラー」、「ナッシュヴィル」、「ボウイ&キーチ」(どれもアルトマン作品)、「ロング・ライダーズ」といった70'sの作品で完結してしまった感じがある。兄デヴィッドは最近では「キル・ビル」にも出ていたが、3兄弟が、劇中でも兄弟役を演じたウォルター・ヒル監督の「ロング・ライダーズ」を久しく見直してないので、近々見たいなあ。キースの娘、マーサ・プリンプトンは、ティーン役として「グーニーズ」、「モスキート・コースト」にも出ていたが、90年代になって「アイ・ショット・アンディ・ウォホール」、「ビューティフル・ガールズ」、「200本のたばこ」に出演している。故リヴァー・フェニックスの恋人だった人でもある。