Things Called Love / Bonnie Raitt

Nick of Time
〜thingつながり
Warner Brothersという会社は、70'sの亜米利加音楽を愛する者にとっては、特別な思い入れがあるレーベルだ。メジャーでありながら、無名ながら才能ある人材を見出し、レコード発表の機会を与えた(その多くは予想通り売れず、また埋もれてゆくのだけど)。けれど80's半ば、音楽ビジネスがふくれあがり、経営の主導権を現場出身の人間ではなく、経理畑、法律畑の人間が牛耳る頃、人員整理の名の下に多くの有能なミュージシャンが、契約を切られた。そのまま消えていった人、マイナー・レーベルでの活動を経て、後年花咲いた人、ポリシーをまげて(憶測)売れる音楽に転向した人、さまざまだが、ボニー・レイットのような、ミュージシャンズ・ミュージシャンでありながらセールスが伴ってない人も例に漏れず、「Nine Lives」を最後にWBを離れる事になる。
但し、ボニーにとって追い風だったのは、ルーツ音楽を再びリスペクトする気運が巡ってきた事と、ドン・ウォズ、ミッチェル・フルームといった有能なprodに出会えたことだ。
89年にCapitolに移籍した第1弾「Nick Of Time」は、派手なカムバックではなかったが、次作「Lack Of Draw」での華々しい成功の大きな布石となった1枚。ジェリー・ウィリアムス、ボニー・ヘイズ、ラリー・ジョン・マクナリーといったsswの作品を取り上げているが、この辺のセンスは以前と少し変わっている。
Thing Called Loveは、ジョン・ハイアットの作品。ハイアットといえば、エルヴィス・コステロニック・ロウといったパブ・ロック出身のミュージシャンとの交流でこの頃ブレイクした、テキサス出身のssw。ここではボニーの豪快なスライドが聞ける。