フル・ムーン

フル・ムーン
■Full Moon
2000年に奇跡のCD化となったフル・ムーンの唯一のアルバム。ラーセン・フェイトン・バンドが人気を博していた80's初め、その前身バンドのフル・ムーンの激レアなLPがある、と言う噂は知ってたけど、CD化されるまで実態は謎で、僕はジャケットも見たことがなかった。ジミ・ヘンドリックスのマネージャー、アラン・ダグラスのレーベルDouglasからのリリース('72)で、ソウルとロックの割合は7:3といった感じかな。驚くべきことはバターフィールド・ブルーズ・バンドのメンバーが3人−ジーン・ディンウディ(vo,sax,fl)、フィリップ・ウイルソン(vo,ds)、バジー・フェイトン(g,vo)−いる事で、バターフィールド・ブルーズ・バンドの既成の白人のブルーズバンドからどんどんはみ出た音楽性が、ここで生きている。
ニール・ラーセン(この人のプレイを聞いたのは、シー・レヴェルが初めてか)のkbやフレディ・ベックマイヤー(ベックマイヤー・ブラザーズ)のbのプレイは言うまでもないが、全体を包むムードは72年ではいかにも早い(ベックの「Blow By Blow」が出るまでこういったクロスオーヴァー的な音は一般的ではなかった)。フェイトンという人は、末期のラスカルズにもいたが"Need Your Love"はそれ風のブルー・アイド・ソウル。ウィルソン(この人はジャズ〜R&B畑でも有名な人らしい)が歌う"To Know"も深みがあって素晴らしい。