ピンク・フロイド

Dark Side of the Moon
■Dark Side Of The Moon / Pink Floyd
「レココレ」3月号 レコード・コレクターズ 2006年 03月号  を読みながら「狂気」を聞いてみた。
僕の持ってるのは、70's後半に流通していたEMS-80324規格。最初に聞いたのは「炎」だったけど、中学生としては、プログレの、ロックの名作のこれを聞かなきゃ!と気合入れて買った記憶。これを聞いた77年といえば、日本でもパンク・ロックが新しい衝撃として、紹介された頃で、それまで沈黙を保っていたプログレの大御所(フロイド、イエスELP)がこぞって新作を発表した年でもあった。この沈黙の間に劇的に時代は動いてしまい、大御所の新作は、かつて代表作、問題作を連発していた70's初めほどの衝撃はなく、批評も、受け止めるファンも(まあ初心者は除いて)結構冷ややかだった気もする。日本では「進化する(し続ける)ロック」と言われたプログレッシヴ・ロックの音楽そのものが進化してない、なんて反応も多かった。そんな時だったから、遡って彼らの代表作をという気運があったのか、「スター・ウォーズ」に始まる映画でのSFブームを受けて、音楽にもそれに近いムードの(あくまでもムードの)彼らが再び取り上げられたのか、今となっては定かではないが、新作の不評ぶりとは裏腹にメディア(まあ久々の新作ではあるし、パンク勢の「死に絶えた恐竜ロック」と称された大げさなロックへの援護もあった)は大きく取り上げた覚え。
さて72年にリリースされて、最も売れ続けているロックのアルバムの1枚として有名な「狂気」は、ツアーで何度も演奏され形をある程度つくった状態で発表された。最近のライヴドア関連のニュースでもたまにBGMとされる"Money"がアメリカでようやくヒットしたが、昔からこれにはなじめなかった。よく聞くと意外とブルージーな演奏で、機材と言うものがなかった遠い時代の、ここまでやりました敵な話以外にも聞くべき点はあったのだと反省。むしろ大好きだった"Time"が冗長に感じた。レスリー・ダンカン(なぜCD化が止まっているの?)、ドリス・トロイ(アップルからLPもある黒人シンガー)、バリー・セント・ジョン、ライザ・ストライクといったおなじみの英国セッションシンガーのコーラスとgの絡みが面白い。むしろ輝きを失っていないのが、クレア・トリーのスキャットの入った"The Great Gig In The Sky"で、昔からどうしてこの曲のまろやかなムードに惹かれてたのかというと、最近気がついたのだけど、デイヴ・ギルモアがpedalsteelを弾いてるのだ。