ドゥービー・ブラザーズ

ドゥービー・ストリート
■Takin' It To The Streets / The Doobie Brothers
トム・ジョンストンがドラッグがらみで一線から退いて(正確な報道はされず、あいまいに伝えられたのは逆にジョンストンのこれまでの人気振りを示してる)、代わってスティーリー・ダンから加わったマイケル・マクドナルドがいきなり個性を発揮した76年の6枚目(邦題は安易に「ドゥービー・ストリート」と付けられてる)。アルバムリリース前に日本公演があって、そこでバンドの変化を感じたファンも多かったのでは? その後個性を発揮するマクドナルドだけど、ここでは4曲書いて歌う。LPのライナーで小倉エージ氏が「ラスカルズをほうふつとさせる」と書いてるのは言いえて妙。西の代表選手だったドゥービーが、東の香りを歌い手を参加させたこと、前作の「Stampede」の野性味とはうって変わった都会的な洗練さを打ち出したことが新鮮だった。マクドナルドの苦しげな歌い方を、ダメという人もいるけど、僕はソウルフルだと思う。が、このアルバムで実はマクドナルド以上に活躍してるのは、タイラン・ポーターのbass(1曲歌うし)でイントロ部で効果的に使われてるだけでなく、2台のdsを操るかのごとくしなやかで張りのあるプレイを聞かせる。このリズムセクションとメンフィス・ホーンの絡みがそれまでにない感じを出している。パット・シモンズが歌う"Wheels Of Fortune"と"8th Avenue Shuffle"はどちらも軽快な感じで気持ちいい。特に後者では、シモンズとジェフ・バクスターの二人のgtrの個性の違いがはっきり判る。ジョンストンは、お義理に1曲歌っているが、マネージメント側の「健在」をアピールしたカモフラージュっぽい。フォトセッション同様、歌入れだけに参加した感じありあり。マクドナルドの4曲では、タイトル曲が一番だが、チャンキー、ノヴィ&アーニーのノヴィのviolaをフィーチャーした"Losin'End"もいい(マクドナルドはソロで再演)。