イエス

究極
■Going For The One / Yes
毎日こう暑いと透明感のある声を聞きたくなる。クリアなヴォイスというとすぐ思いつくのが、イエスのジョン・アンダースン。過剰に緊張を強いられるようなイエスの音楽はあまり好みではないけど、いっぱしのプログレファン気取りの中学生にとって久々の新作だった「究極」(この言葉を知ったのもこれのおかげ)は、結構楽しんだ覚え。代表作といわれる「Close To The Edge」よりもなじみある1枚。パトリック・モラーツに代わり、元メンバーのリック・ウエイクマン(kb)が復帰した77年作だが、プレスはパンク〜ニュー・ウエイヴのバンドに興味を示す一方、こういった大物バンドの久々のLPにもまだ好意的な評が載ってた頃(79年になるとプレスはこういうヴェテラン勢を化石扱いする)で、バンドもそんな評価に惑わされずに伸び伸びと表現できたわけ。ジャケットも従来のファンタスティックなロジャー・ディーンのイラストから、ヒプノシスの無機質な感じになっているが、音は基本的に変わりない。大作"Awaken"は、様々な表情を見せながら、展開してゆく意欲作。過去の大作の焼き直しといわれても愛おしい。それ以上に愛おしいのがシングルカットされた"Wonderous Stories"。3分台のポップスに託したファンタシーの心意気がせつない。ジェネシスあたりよりもずっとファンタスティックだ。タイトル曲はスティーヴ・ハウのsteel-gがカッコいいロックンロールでアンダーソンのvoも炸裂している。