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メイ・マッケンナ(紙ジャケット仕様)
●How Could We Dare To Be Wrong / Mae McKenna
コントラバンドで出した唯一のLPがそのスジのファンを唸らせたが、トランスアトランティックはバンド解散後、リード・シンガーのメイ・マッケンナを美麗の女性シンガーとして売り出そうとしたようで、初ソロとなった75年の「Mae McKenna」はジョン・レノン、エドガー・ウィンター、ランディー・ニューマン、ジム・ウェッブ、ニール・セダカ、エルトン・ジョン、ジェリー・ラファティーらのカヴァーが並んだもの。スタジオ・ミュージシャン(マーティン・ブライリー(b,g〜後期グリーンスレイドに参加した人)、グラハム・プレスキット(kb)、ポール・キーオ(g)、トレヴァー・スペンサー(ds)ら)による匿名的なバックに引っ掛かりがなさ過ぎるのと、オーヴァーなストリングスが少々鼻につくけど、悪くない。僕は英国の女性シンガーというと、非トラッド系のssw、ブリジット・セント・ジョン、シエラ・マクドナルド、ヴァシュティ・ブニアンあたりがまずあがって来るのだけど、彼女らとは又違う味わいがある。いきなりエドガー・ウィンターの"Dying To Live"で始まりビックリするけど、エルトン・ジョンの"Elderberry Wine"(「ピアニストを撃つな!」より)やレノンの"Imagine"も悪くない。"How Could We Dare To Be Wrong"は、元ゾンビーズコリン・ブランストーンの2枚目「Ennismore」に収められていた名曲で、原曲のよさもさる事ながら、マッケンナ(余談ながら、SAHBのヒュー・マッケンナはメイの兄になる)の表現力に舌を巻く。
もう一つ余談。「レココレ」でも記事を書いているW氏がこの日本盤CDのライナーを書いているが、このライナーは大半が貴重なインタヴューの再録となってはいるものの、70'sフォークロックの再発日本盤CDの性格を考えると明らかに不向きで、氏が「レココレ」や「ストレンジ・デイズ」誌で書かれてる雑文に相当する。いろいろ意見はあるだろうがこうしたアルバムの場合、収められた多彩な曲の作者について紹介するのが当然だと思うが、ここではそうしたことはほとんど触れていない。これに限らず氏の場合多くのライナーノーツが、僕にとっては不要だ。