road#3

Nick of Time
■The Road's My Middle Name / Bonnie Raitt
不振を極めた80'sも終りに近づいた89年キャピトル移籍第1弾としてリリースされた「Nick Of Time」は、ボニー・レイットのスランプ脱出を告げる1枚だった。それにしても長かったスランプ。リアルタイムでボニーを聞くようになったのは「Green Light」('82)からだったので、この後の「9 Lives」が全く評価の対象になかったのと、ルーツを忘れ流行の80'sロックに迎合してしまったかのような印象を受けた事もあって、もはや追憶の中で生きる人かな、とも思っていた。Was(Not Was)時代はあまり関心がなかった、ドン・ウォズをprodにしたディズニー映画音楽のトリビュート盤で1曲ブルージーな歌を聞かせてくれて、それをピーター・バラカンの放送で知って狂喜した覚え(その前後にボニーの1stに入った"Since I Fell For You"のオリジナルをかけて、とリクエストした葉書きが放送で読まれピーターに「(その曲は)まあ置いといて」といなされた覚えもある(そのリヴェンジに後でベティ・ハリスの"Cry To Me"をかけてもらったりした))もあるが、ハッチ・ハッチンソン(b)、リッキー・ファター(ds)のリズムセクションを中心に起用、ゲストにクロスビー&ナッシュ(vo)、ハービー・ハンコック(p)、スコット・サーストン(kb〜ジャクソン・ブラウン・バンド)らを迎えたこのアルバムでは、時代が一回りして、ブルーズなどのルーツ音楽に再びリスペクトする気運と合致。またCDの普及で過去のカタログを入手しやすくなったということもあって、ブルーズを基調とした本来のボニーの個性をドン・ウォズのprodが引き立ててる感じ。オリジナルと同様、ジェリー・ウィリアムスやジョン・ハイアット、ボニー・ヘイズの作品もカヴァー。"The Road's My Middle Name"は、オリジナルだが、キム・ウィルソンのharpをフィーチャーしたなんともブルージーな出来。