あ1-Alzo

アルゾ テイキン・ソー・ロング
昔の記事の再録に近いけど・・・

アルゾ:シンガー・ソング・ライター
03年に世界初CD化としてリリースされたアルゾのファーストのライナーはおなじみの長門芳郎氏が書いているが、正直読み物としてあそこまで感動的なライナーを僕は知らない。90'sに入って日本でのフリー・ソウル人気によってクラブ・シーンでアルゾ&ユーディン時代の作品がかかっていたり、ブートではあるもののA&U時代の作品がCD化された記事をアルゾ本人が発見し、コンタクトを取る。一方アルゾの作品を正規の形でCD化したいとアルゾの行方を長年捜していた長門氏の元にその旨が伝わり、長門氏は上ずった声で言う。
「ようやくあなたを見つけました!ずっと探していたんです・・・」

アルゾ・フロンテは、NY出身。68年にマーキュリーからアルゾ&ユーディンとして活動。その後71年にアンペックスから出たのが初ソロ「Looking For You」でアンペックス閉鎖後、ベルから「Alzo」のタイトルで再発されたのが、この日本盤。prodはボブ・ドロウで、軽快なブラジリアン・テイストと抜群のメロディーが、カシャカシャというアコギと共に聞かれる。日本でいわゆるsswと紹介されたフォーク系のものに比べると、まったく別のものという感じもする。開放感があるのだ。アルゾ本人はこのLPがセールス的にさっぱりだった事と相次ぐレーベルの閉鎖統合に嫌気が差してシーンから離れていたが、偶然にもネットの発達と共に日本で評価されていたことを知ったのだった。03年BMGファンハウスのreissueシリーズ「パイド・パイパー・デイズ」の1枚としてこのCDが出た後の反響は、特にクラブ世代に人たちに支持されたアルゾらしい、ネットや外資系輸入CDショップを中心に予想以上の売り上げを記録。当時どこいっても「ナイゾ」とあちこちのBBS(ブログはまだ少なかった)で書かれていた事を思い出す。
これで話が終わりなら、めでたすめでたしなのだけど、運命の神様は更にドラマティックなエンディングを用意していた。好評の内に迎え入れられた「Alzo」に続く、オクラ入りしていた幻の2枚目「Takin' So Long」のリリースを控えた04年2月1日、家族や親しい友人と共にバーで、リラックスした時間を過ごしていたアルゾは、倒れそのまま急逝。これから、という時に... と悔やむファンも多いだろうが、2枚目のライナーで長門氏が書いてることに集約されるだろう。

「ひとつだけ救われるのは、彼にとっても夢であった「Alzo」の再発が実現し、遠い日本での大きな反響が伝わり、「自分の音楽が愛されている」ということを実感し、きっと「人生もまんざら捨てたもんじゃないぞ」と思うことができたのではないだろうかということ」

個人的にまったく門外漢だった僕をアルゾに導いたのは、アメリカ音楽をこよなく愛するきよさんのサイトだったりするのだけど、文字通りアルゾが長門氏と出会うきっかけとなったという富田さんのサイトも必見!