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SANCTUARY/SUITE FOR LATE SUMMER
■Traveller In The Rain / Dion
ディオンという人は、白人によるドゥーワップ・グループ、ディオン&ベルモンツを率いてた人。解散後ソロになり、ブリティッシュ・ビートの来襲がある頃までが、キャリアのピークであり、その後は低迷。しかし68年の"Abraham,Marlin And John"の大ヒットでカムバック。ssw的な内省的な作風は、時代とマッチし、Warner Brosに残した4枚のLPは、ヒットこそしなかったけど、どれもsswの時代だった、70's初頭の空気とうまくあっている。"Traveller In The Rain"は、72年のWB第4弾「Suite For Late Summer」から。ラス・タイトルマンがprodし、マイアミのクライテリア・スタジオ録音の1枚で、後にクラプトン・バンドのジョージ・テリーがbassで参加。ジョン・クロウシ(g)、デヴィッド・ロビンソン(ds)の他、ニック・デ・カロ(p)、スニーキー・ピート(steel)が参加。この曲や"Tennessee Madonna"で聞かれるゆるいカントリー・ロック的な音は、当時のトレンドだったカントリー・ロックへ使った目配せ的な感じもあるが(実際、リック・ネルソン、ジョニー・リヴァースら大ヴェテランがこのジャンルへ転向したのがこの時期)、ディオンの場合、何の違和感もなくスムーズだ。