boy#2

Girl Group Sounds: One Kiss Can Lead to
■Lookin’ For Boys / The Pin-Ups
05年にライノから出た4枚組のガール・グループの箱「One Kiss Can Leads To Another」はまさしく決定版とも言える内容。収められた約120曲は有名曲もあるけど、このジャンルを15年くらい聞いてきた熱心なファン(とも言えないけど)の僕を十分うならせ、奥の深さを感じさせる素晴らしい出来。今日はそのうちdisc3を紹介。Song-by-songと題された1曲ごとの解説も泣かせる。
一言でガール・サウンドといっても、ビートルズ登場以前のいわゆるブリル・ビルディングス・ポップス、黒人R&Bのアクが薄れたポップス的なもの、ガレージサウンド、本家、亜流も含めたスペクターもの、英国ガールズetcといろんな要素が混在しているが、この箱では何でも詰め込んでて、それが楽しさを増強させている。気になるものを順に見ていこう。
シェールの”Dream Baby”はシェリリン(Cherilyn)名義で出た64年のデビュー曲。既にインペリアル時代のコンピでも紹介されているが相方のソニー・ボノが書いたフォークロック風味のもの。今ではチョットコワイがデビュー当時のシェールはなかなかキュートだ。 グッディーズというグループが2つ。Goodeesは3人組で”Codition Red”はいわゆる語り入りのデスソングで、お約束のクラッシュ音と救急車のサイレン音入り。もう1つのGoodiesは4人組で、シャングリ・ラスの“Sophisticated Boom Boom”をカヴァー。どちらのグッディーズもシャングスの影響下にあるのがうれしい。そのシャングスといえば、ロリ・バートンとパム・ソーヤーによる架空のグループ、ホワイト・ブーツ(Whyte Boots)も”Nightmare”も収録。すでにバートンのソロにも収録されていたもの。白いブーツを履いた写真が残されているが実際は存在しないグループなので、別人だろう。
一番うれしかったのは、市川実和子ポンキッキーズ時代の名曲“ポップスター”Pinup Girl(通常仕様)の元ネタ、”Should I Cry”が入ってたこと。ジャッキー・デ・シャノンの64年作。 ミリーのヴァージョンで知られる”I’m Blue”はアイケッツのヴァージョンで収録。名前の通り、アイク&ティナ・ターナーのコーラス隊だ。ディメンションのクッキーズは、いろんな変名のシングルがあるがここでは、ハニー・ビーズ名義の”She Don’t Deserve You”を収録。後にA&Mからデビューするイーヴィー・サンズの”Take Me For A While”(‘65)も貴重。トレイド・マーティン作でヴァニラ・ファッジやパティ・ラベルもカヴァー。ホワット・フォーは作られたガレージ・バンドでメンバーは演奏にタッチしていなかったという。”I’m Gonna Destroy That Boy”(’66)はコロムビアからのリリース。一方00’sになって復刻されたラヴド・ワンズ(Luv’d Ones)は、ちゃんと演奏していたガールズ・ガレージ。”Up Down Sue”(’66)を収録。英ガールでは、シラ・ブラック、ニナ・ロッシ、トゥウィッギーが収録されているが、キュートさではトゥインクルがリード。”Terry”はトレイシー・ウルマンが80’sにカヴァー。日本では一般的な知名度もあるコニー・フランシスの“Don’t Ever Leave Me(’64)”はバリー=グリーニッチ作。よく耳にしてたけどフランシスとは知らなかった。LAスワンプ・コーラス3人娘として70’sのLAで録音されたアメリカン・ロックのアルバムでゴスペル・ライクなコーラス、といえば大概参加していたシャーリー・マシューズの珍しいシングル、“Big Town Boy”(’63)もある。擬似スペクターのサティスファクションズは、ジャック・ニッチェの娘、グラジアをフィーチャーしたもので、グラジア以外はダーレン・ラヴのブロッサムズが担当。”Daddy You Gotta Let Him In”(66)はヘルズ・エンジェルズの彼のことを歌ったもの。明るい系セレクトにも入れたかったレヴ・ロンズの”After Last Night”(’63)は、レイチェル、フランシス、ループの姉妹によるもの。ぐっと雰囲気が変わってプレ・スウィート・ソウル的なラヴ・ライツの”How Can I Tell My Mom And Dad“は、69年のリリースなんでちょっと反則っぽいけど、シカゴのガール・グループ。ダーネルズはモータウンマーヴェレッツの変名で、”Too Hut To Cry Much In Love To Stay”は、なんとスペクターっぽい。言われなきゃ黒人グル-プとはわからない。最後にピン・ナップスの”Lookin’ For The Boys”(’64)は、エンジェルズの”My Boyfriend’s Back“のクローンで、そちらも書いたボブ・フェルドマン、ジェリー・ゴールドスタイン、ジリチャード・ゴッタラー(モータウンのHDHみたくFGGと言われるらしい)の曲でエンジェルズに突っ返されたものらしい。