long#3

Sepheryn
■Long Long Time /Curtis Maldoon
ディープ・パープルというのは、当たり前だけどハードロック・バンドとして知られてるけど、パープルのメンバーを中心としたパープル・ファミリーはどちらかというと非ハードロック系の人が多くて、そういうところが僕がパープルに惹かれ続ける要因にもなっている。パープル・レコードは、71年に設立されたレーベルだけど、その第1回リリースの4枚のうちの1つがこのカーティス・マルドゥーンのファースト「Curtiss Maldoon」だった。元サーチャーズのデイヴ・カーティス(vo)を中心とした新バンド、ランドアバウトが後のパープルへとつながっていったのは有名な話だけど、ラウンドアバウト脱退後結成したのがボダストで、ここには後にアトラクションズのブルース・トーマス(b)、後にイエススティーヴ・ハウ(g)らがいた。このボダストのメンバー、クライヴ・マルドゥーン(g,vo)とカーティスが結成したのがこのカーティス・マルドゥーンで、音の方はなんとも地味なフォークロックでよほどの好き物しか聞かないだろうなあ、と言う感じ。それでもいくつかの曲ではハッとさせられるメロディー、arrがあって侮れない。基本的にカーティス、マルドゥーンにマイティー・ベイビーのロジャー・パウエル(ds)、イアン・ホワイトマン(p)、スティーヴ・ハウ、ブルース・トーマスらが加わるスタイル。トニー・アシュトンやロイ・ダイクが加わる曲もあって、このレーベルらしく「使いまわし」感の強い部分もある。
ベストトラックともいえる"Long Long Time"は意外にもビートルズっぽい印象を受ける。カーティスのソリッドなgもききもの。僕は全く知らなかったけど、マドンナがここに収められた"Stepheryn"を"Ray Of Light"としてカヴァーしヒットさせたらしい。
バンドは72年にもう1枚「Maldoon」を出しているが、ここにはジョン・マッコイ(b)とリーアム・グノッキー(ds)が参加。二人とも後にギランに加わるリズム隊で、マッコイは、ホワイトスネイクにいたミッキー・ムーディーがかつていたトラムラインのvoだったという、なんともパープル人脈の意外なコネクションを感じさせておもしろい。