●Dixie Fried / James Luther Dickinson

ディキシー・フライド
セントレアボジョレー・ヌーヴォーが届いたと言うニュースをやっていた。僕はもちろんワイン通でもないけど、80'sのバブル期には、成田空港まで出向いて飲む人々が現れたりと、ボジョレーのブーム(というか大騒ぎ)があった事を覚えてる。元々11月の第3木曜に解禁となるボジョレー地方の限られた銘柄の新作ワインを「ボジョレー・ヌーヴォー」と呼ぶらしい。輸出されるものの半分は依然として日本向けなんだって。というわけで、ワインの曲が入ったアルバムを。

ジェームズ・ルーサー・ディキンソンことジム・ディクソンは、ライ・クーダー・バンドのkb及びprodとして知られてる人。72年にひっそりと出た「Dixie Fried」(Atlantic)は、日本では「名盤探検隊シリーズ」の1枚として発掘されたが、僕が最初にこれを見つけたのは、サンリオから出てたムック「ロック名盤のすべて」というバイヤーズ・ガイドで、小倉エージ氏が「シンプル・ロック」として紹介してたssw〜スワンプな何枚かの中だった。その後西新宿のCHICAGOで、カット・アウトをゲット。チャーリー・フリーマン(g)、トミー・マクルーア(b)、マイク・アトレー(kb)、サミー・クリーゾン(ds)のディキシー・フライヤーズ(バンド名はこのLPから取られたのか?)を初めとしてドクター・ジョン(p)、ジーニー・グリーン(vo)らが参加。

録音はフロリダのクライテリアだが、南部臭(ディクソンはアーカンソー出身)が濃厚なスワンプ・サウンド。ジョン・サイモン的な叙情性もある"The Judgement"がベストトラックだが、ポール・シーベルの作品で、イアン・マシューズやボニー・レイットも取り上げた"Loise"、カール・パーキンスの"Dixie Fried"、ザ・バンド的な"Wild Bill Jones"もいい。オープニングに収められたロックンロールの"Wine"は、リトル・リチャード的な疾走感あふれるナンバーだがsteelが入ってくる展開に思わずニヤリ。思えばこの曲はエレクトリック・フラッグのデビュー作「A Long Time Comin'」('68)にも入っていたのだ。