08003 Romany:The Hollies

Romany
グラハム・ナッシュ脱退後のホリーズにおいても、トニー・ヒックス、アラン・クラークに新加入のテリー・シルヴェスター(元スウィンギン・ブルー・ジーンズ)による無敵のハーモニーは健在だった。しかしソロ活動を理由に71年にクラークが脱退。後任にはムーヴのカール・ウェインも候補に挙がったらしいが、結局はスウェーデンのバンブーというバンドにいたミカエル・リックフォースに決定。レーベルをパーロフォンからポリドールに代え心機一転再スタートを切った。ただ新加入のリックフォースのvoの資質がバラードタイプで、前任のクラークと違う為、過去のヒット曲を歌うに違和感があったこと、72年に米エピックがパーロフォン時代の「Distant Light」('71)から独自にカットした、クラークが歌う"Long Cool Woman"が#1になってしまった(英ポリドール時代の米エピックの為横槍と言うわけではなかっただろうけど)ことなどが逆風となり、73年にはクラークがソロを並行して出すことを条件に復帰し、リックフォース期のホリーズはあくまでも異端的な感じになってしまった。
90年に米エピック編集のコンピCDでホリーズを知った僕としては、リックフォース期が妙に気になっていた(名曲"Magic Woman Touch"もあったし)けど、その時期の1枚(もう1枚あり)の「Romany」('72)が去年EMIよりCD化された。
リックフォースという人はミディアム調のナンバーを歌う時に冴える。ここでもCCRタイプのハードロック"Won't You Feel Good That Morning"、"Slow Down"(どちらもクォーターマスのピート・ロビンソンがkbで参加)なんかよりも、"Lizzy And The Rainman"(アソシエーションみたい)、デイヴィッド・アックルズの"Down Under"がいい。元メンバーのナッシュの目指したアコースティックな世界に近い"Magic Woman Touch"(グレーテスト・ショウ・オン・アースのコリン・ジェニングスとノーマン・ワット・ロイの共作)や"Delaware Taggett And The Outlaw Boys"と言うのはなんだか皮肉だが。ジュディー・シルの"Jesus Was A Crossmaker"を取り上げているのは、先見の明と言うよりも同時期のアメリカの音楽に対する目配せだろう(同じく初期アサイラムイーグルスの"Witchy Woman"のあまりにストレートなカヴァーもボーナスにある)。
8曲のボーナスには同時期のLP未収録のシングルもあるが、"Magic Woman Touch"の アコースティック・ヴァージョン、バーズみたいなフォークロックの"If It Wasn't For The Reason That I Love You"、がいい。あとB面曲の"Oh Granny"も。ジャケットは「Distant Light」(↓)の続編みたいな感じでヒプノシスが担当。
                          Distant Light
レココレ'07.12にてレヴュー。リマスター、欧(蘭)EMI:094639471225
原盤:英Polydor:2383144