08007 土曜日の夜:トム・ウエイツ

土曜日の夜
今年はちゃんとトム・ウエイツも聞かなきゃ、と言う気持ちもある。最初に知ったのは、多くの人のカヴァーされた"Ol'55"なんだけど、それが入った「Closing Time」は、ピアノを弾くディランと言った風情もあった。それ以降何となく足が遠のいてる感じで、いくつかの曲はピーター(バラカン)がかけてくれたから知ってるけど、アルバムを聞こうという姿勢にはなんとなくならなかった。
80'sには主にインディーの映画に出演し、個性的な傍役として名前を売った事もあって、Islandに移籍後は少し難しいというようなイメージも加わったのだ。
「The Heart Of Saturday Night」('74)は、74年に出たAsylumからの2枚目。当時のsswは、カントリーもしくはフォーク・テイストで放浪を歌う、といった人たちが大半だったことから(特に西海岸のAsylumは)、ジャズに根ざしたウエイツは、ある意味ウォーレン・ジヴォンくらい同レーベルでは、浮いていたかも。そういった煙草と酒の匂いにまみれたナンバーは、"Semi Suite"、"Fumblin' With The Blues"、"Depot Depot"で、どれもジャズの色濃い。かと思うと"Sandiego Serenade"、"Shiver Me Timbers"、"Please Call Me Baby"、"Drunk On The Moon"、といったバラードではストリングスを配し、叙情性に訴える。タイトル曲の"Heart Of Saturday Night"は、ジェリー・ジェフ・ウォーカーが取り上げたナンバーで夜の闇にまぎれそうな歌声が印象的。
基本的にウエイツ(p,vo)、ジム・ハンゲイト(b)、ジム・ゴードン(ds)のトリオで曲によっては、トム・スコット(ts,cl)が加わると言った編成だ。
WEAミュージック:18P2697 原盤/Asylum:7E-1015