#8ロジャー・ニコルス

Small Circle of Friends
Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
初めて買ったCDを覚えてるだろうか?僕の世代はもちろんレコードの世代だったけど、80's半ば頃から新譜でもCDしか出ないものが徐々に増えていき、苦々しい思いはあった。ただまだ致命的ではなく、静観していたのだけど、ロジャー・ニコルスが世界初CD化された年(まだ昭和だった)、遂に白旗を揚げて、CDラジカセを購入。よって初CDがニコルスの67年作となる。衝撃を受けたピチカート・ファイヴの「カップルズ」を聞いて、これがA&Mサウンドというものだと教わったこと。その音がニコルスのアルバムに強く影響されていると言うこと。そしてライナーをピチカートの小西康陽が書いてたこと。まだソフトロックという言葉もなかった(と言うか今みたく使われていなかった)頃、それだけ十分だった。初聞きの印象は、カーペンターズみたいと言うありきたりの感想だったけど、ポップス好きでありながら、こういうMORを素通りしてきた僕の耳には新鮮だった。
12曲のうちビートルズ、スプーンフル、キャロル・キングのカヴァーが半数近くを占めるが、基本的にはニコルスのオリジナルで、マレイ&メリンダ・マクリオード兄妹とニコルスによる男女混成コーラスが実に美しい。とりわけ冒頭の"Don't Take Your Time"、"Love So Fine"にはしびれる。
その後何度か再CD化された際に、LP未収録のシングルがボーナストラックとして収録されたが、ハーパース・ビザールがカヴァーした"The Drifter"はまさに名曲と言う名にふさわしい。