#10レネー・アーマンド

ザ・レイン・ブック
■The Rain Book / Renee Armand
ここで取り上げてるアルバムの多くは、昔から聞いてたものだけど、その存在を長い間全く知らなくても魅力に引き込まれてしまったものもあることはある。すでに何度もブログでとりあげてるレネー・アーマンドの「The Rain Book」('72)もそう。
アーマンドの名前は再結成リトル・フィートの「Let It Roll」にもコーラスであったけど、その当時は知る由もなかった。90'sに入って廃盤中心の店へ行くようになると、何度も出会うことになるエンボス加工の水滴ジャケットがあった。値段はいつも4000円近く、「70's女性sswの傑作」と紹介されている。裏ジャケのクレジットを見ると、ダニー・コーチマー、ラリー・カールトン、マイク・ディージー、ルイス・シェルトン(g)らが加わっていて(このgtrの数の多さが曲者だったのだけど)、何度か見てエサ箱に戻すたびに欲しくなってくる。それを数回繰り返した末に、ネット・ショップで割りと安かった(それでも3000円台)ので注文するが、到着後、数ヶ月先にユニバーサルからCD化の知らせ。これはへこんだなあ。
結果として僕は予想してた音とはずいぶん違い、gtrの多さは演奏の匿名性を増すばかりで、あくまでも中心はレネーの歌だった(印象的なソロがあるような音楽だと思っていた)。デレク&ザ・ドミノス他のジム・ゴードンのGFだったそうで、ゴードンがprodとds他を担当。レネーの音楽的バックグラウンドがわかりにくく、強いてジャンル分けするとやはり「女性vo」になってしまう。A&Mという事もあって、カーペンターズ的なMOR(共作者としてクレジットされてることが多いケリー・チャイターが元ユニオン・ギャップということもある)っぽさも感じさせる。決して南部的なブルージーサウンドでも、西海岸のカントリー・ロックでも、東の都会的なsswでもない音。それでも"Does Anybody Love You"、"Raining In LA"といった曲のキャッチーなメロディーには魅力たっぷり。ライナーで長門さんがローラ・ニーロっぽいと書いている"You And I"は確かにそんなムードもある。70'sはコーラスとして多くのLPに参加してるらしいが、あまり縁がなかった。これがファーストで2枚目はジョン・デンヴァーのレーベルから出たと言うことも、知らなかった理由の一つかな。
80'sにはコヨーテ・シスターズのメンバー(マーティ・グイン、リア・カンケルにレネー)としても活動している。