職業#6

Lawyers in Love
■Lawyers In Love / Jackson Browne
センセイシリーズ第3弾は弁護士。
今年に入って何度もジャクソン・ブラウンを取り上げているのですが、今日は83年の「Lawers In Love」です。前作「Hold Out」でハード・エッジなロックンロールを披露したジャクソンですが、"Somebody's Baby"のヒットをはさんでリリースされた、80年代初のアルバムは、時代に呼応したロックンロール・アルバムになっています。テキーラ・サーキット*1の連中でいち早くNew Waveの動きに反応したのは、アンドリュー・ゴールドでありリンダ・ロンシュタットでした(キーワードとなっているのはクリトーンズのマーク・ゴールデンバーグ)。ここでのNew Waveというのは、「バック・トゥ・60's」といわれたシンプルなロックンロールへの回帰で、テクノな路線ではありませんが、83年の本作にはよりシェイプアップされたシンプルなロックンロールが聞かれます。各面のラストに配された"Down Town"と"For A Rocker"などがそうです。それでは、バックのミュージシャンを紹介してきましょう。盟友デイヴィッド・リンドレーが独立したため、リック・ヴィトー(g)が新加入。かつてはbを担当していたダグ・ヘイウッド*2がorgで。ラス・カンケル(ds)、クレイグ・ダーギー(kb)、ボブ・グローブ(b)はいつもの面々です。ヴィトーが加わっただけですが、演奏面では若さがみなぎっています。

前作「Hold Out」がほぼ全曲すでに別れてしまった*3リン・スウィーニーに捧げた私的なラヴ・ソングでしたが、このアルバムでは、かつての「The Pretender」の頃の世界に向けた警告めいたメッセージ曲もいくつかあります。このタイトル曲の"Lawyers In Love"はシングルカットされて、#まで上がりましたが、歌詞には、「ロシア人がどこかへ逃げ去った」とか「ソビエト連邦の領土はvacationland(リゾート地といった意味でしょうか)として近々オープンするらしい」といった部分があります。まだペレストロイカ*4前のソビエトを予感していた、というかソ連解体を予言していたような歌詞には、やや当惑しますし、タイトルの「愛の弁護人」が何を指すのか、よくわからない部分は今でもあります。
演奏は先ほどあげたシンプルなロックンロールというほどではなく、synthesizerの使い方が、やや陳腐ではあります。あとライヴでの奇妙なアクションがちょっと恥ずかしかった記憶があります(↑の動画*5にはありません)

*1:イーグルスやジャクソン、リンダ・ロンシュタット、アンドリュー・ゴールド、ウォーレン・ジヴォンなど主にAsylumの連中を指してこう言ったらしい。メロウ・マフィアなんて言い方もされたけど

*2:96年にリリースされたソロ「Nevada」は、自主製作で僕は長門さんがやってた通販のBelieve In Magicにて購入

*3:リリース時に新恋人として紹介した日本のメディアが多かったのですが、すでに別れていました(^^)ちなみに「Ruuning On Empty」の初回版についたライヴフォト満載のブックレットにもリンは載っています

*4:ゴルバチョフが書記長となった85年にソ連民主化となるこのペレストロイカが始まります

*5:86年のドイツのRockpalastでのTV動画、スコット・サーストン(kb)も参加