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ディメンション・ドールズ
■Keep Your Hands Off My Baby / Little Eva
キャロル・キングというと今ではほとんどの人が、「Tapestry」に代表されるssw的な作品をまず想像するでしょう。70'sの初めの社会情勢の変化に伴って、歌」も私的な内省的な題材を取り上げることが多くなり、sswたちの歌がもてはやされるようになったのですが、キャロル・キングは「転向派」で、それ以前は夫のゲリー・ゴフィンと組んだゴフィン=キングとして一世を風靡した職業作曲家チームでした。そして更に遡ると、自作自演の歌手(sswと同義語ながら音楽は全く違う)でした。ABC Paramount、Alpine(ニール・セダカへのトリビュート曲"Oh Neil"はここ)、そしてDimensionというレーベルから、何枚かシングルがあります。この「Demension Dolls」は、キング、リトル・エヴァ、クッキーズの3組をフィーチャーしたコンピレーションで、ドン・カーシュナー*1のDimensionから、63年にリリースされたものです。

リトル・エヴァが、キャロル・キングの娘(ルイーズ・ゴフィン)のベビー・シッターをやっていた話は有名ですが、このステージネームは、ストウ夫人の「アンクル・トムズ・キャビン」から取られています。そのデビュー・ヒットの"The Loco-Motion"は、62年の#1ヒットですが、この曲は後にGFRで#1、カイリー・ミノーグで#3と3度大ヒットを記録しています。"Keep Your Hands Off My Baby"は、62年に#12まで上がったヒットで、当然ゴフィン=キング作品です。ゴフィン=キング作品を好んで取り上げていた初期のビートルズBBCライヴでやっています。

クッキーズは54年にブルックリンで結成された3人組のガール・グループですが、Dimensionに移った頃には、ドロシー・ジョーンズ、マーガレット・ロス、アール・ジーンことエセル・マクレーにメンバーは代わっています。ビートルズがとりあげた"Chains"が一番有名でしょうか。

このアルバムに収められているキャロル・キングの作品は後年のものとはタッチが違いますが、有名な"It Might As Well Rain Until September"のメロディーの切れはやはり違います。僕の持ってるCDは英EMIが91年にリリースした拡大ヴァージョンで、そこではラストに収められたひと夏の経験(=失恋)を経験した少女が、もう夏のロマンスなんていらないわ、と少々強がりながら少女時代を決別し大人への第一歩を踏み出す、"I Did'nt Have Any Summer Romance"がベストです。

*1:アル・ネヴィンズと設立したAldon Musicは音楽出版会社のはしりでした。その後「Don Kirshner's Rock Concert」というTVのライヴ番組や、Kirshnerというレーベル(カンサスなど)を作りました