#1

プリーズ・プリーズ・ミー
■Please Please Me
レココレ別冊も買ったし、いい年なんだからいつまでもちゃんと聞いたことない、ではあかんので、ちゃんと聞きます。順番に。まず第1回は63年3月リリースのファースト。
もちろん有名曲は知ってるけど半数近くは聞いたことない曲でした。中学高校の頃は、ビートルズというと楽曲的に完成された(おとなしい)後期の曲はまあ知ってたけど、うるさい、ジャリジャリする音の(というイメージでした)初期ってあまり聞く機会なかったです。63年2月に一日でレコーディングした歴史的な1枚で、14曲中曲がオリジナル(マッカートニー=レノン作)です。

冒頭をかざる"I Saw Her Standing There"は、チャック・ベリー・スタイルのロックンロール。これがオリジナルというのがすごいです。♪She Was Just Seventeen〜のくだりは、なぜ17歳かというとベリーの"Sweet Little Sixteen"を意識しているらしいです。ラストに収められたアイズレー兄弟の"Twist And Shout"以上に初期ビートルズを代表する記念すべきナンバーでしょう。
ヘレン・シャピロに書いたという、"Misery"は、ジョージ・マーティンのpianoをフィーチャーしています。これとアーサー・アレクサンダー作の"Anna"は、若きレノンのvoが楽しめます。特に後者の甘さをたたえた鼻づまりな感じは素敵です。甲斐バンドの"安奈"への影響も感じられます。

ゴフィン=キング作でクッキーズの"Chains"ではレノンの省エネハーモニカがイントロに聞かれます。リンゴ・スターが歌った"Boys"では、レココレ誌でサエキけんぞう氏が「「お前も歌えよ」と冷やかされ、「しょうがない。ではセッシャも1曲」的なキャラクター配置」と絶妙な表現。やたらオカズが入るdsといい、後ろのキャーという相の手など珍品です。竹内まりやがカヴァーしたヴァージョンで知った"Ask Me Why"も大好きな曲です。文句なし。"Please Please Me"は2枚目のシングルで、たたみかけるような疾走感があります。ちなみに2番目のPleaseは動詞だとか(ビング・クロスビーの曲からタイトルを拝借したらしい)。全英#1。
デビュー・シングルの"Love Me Do"は、レノンのハーモニカを大きくフィーチャーしたR&Bタイプのナンバーで、今聴くとわかりやすいけど地味です。その昔手塚理美が出てた三ツ矢サイダーのCMに使われていたこともあります。そのB面曲だった"PS I Love You"って昔からよさがわからないのです。バカラック作でシレルズで有名な"Baby It's You"は、のちにコステロニック・ロウもカヴァー。ビリー・J・クレイマー&ダコタスがヒットさせた"Do You Want To Know A Secret?"はジョージが歌うナンバー。逆にハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスで知られる"A Taste Of Honey"を取り上げるセンスはマッカートニーでしょうねえ。"There's A Place"はレノンのハーモニカで始まる隠れた名曲です。