away#3

Thirds
■Walk Away / James Gang
ジェームズ・ギャングも波瀾万丈な活動歴を誇ったバンドでした。一番知られているのは、ジョー・ウォルシュ(g,vo)、デイル・ピーターズ(b)、ジム・フォックス(ds)のパワートリオの初期です。"Funk#49"、"Walk Away"といったヒット曲を出し、フーのピート・タウンゼンドから激賞されたり、クリームに対するアメリカの回答とか評された時期です。
そのあとウォルシュに代わって、ブッシュのロイ・ケナー(vo)、ゲス・フーのドミニク・トロイアーノ(g,vo)が加わった時期(ハードロックとメロディアスなナンバーの二枚看板でした)、トロイアーノからゼファーのトミー・ボーリン(g,vo)に代わった時期、そしてバッバ・キース(g,vo)、ボブ・ウエッブ(kb,vo)が加わった末期、の4つに分かれます。

ウォルシュのいた時期はスタジオ録音3枚とライヴ1枚が残されています。最初の2枚は、あの時代らしくバッファロー・スプリングフィールドヤードバーズヴィンス・ガラルディ・トリオ、ハワード・テイト、ラベルといったR&B、ジャズなどジャンルを超えたカヴァー曲に創意工夫が見られます。シンプルなロゴのセカンド「Rides Again」('70)がこの時期の代表作とされてますが、僕としては71年の3枚目「Thirds」も忘れられません。ピーターズ、フォックスの曲も収められ、バンド内民主主義をとった結果ヴァラエティーに富んだ内容になりました(散漫ともいいますが)。ジャジーなインスト"Yadig"、ヘヴィなgのイントロですが、organの重厚なタッチがビートルズを思わせるフォックス作の"Things I Could I Be"、緩やかなカントリー・ロックの"Dreamin' In The Country"(これはピーターズ作)など、ハードロックを期待するとコケます。数少ないロックンロールがヒットした"Walk Away"(#51)ですが、このスカスカな音もハードロックとはいいがたく、ヘヴィな前作とはかなり印象が違います。

これはおそらくはBeat Club(独)の映像でしょう。
ソロになってもウォルシュはこの曲をプレイしていますが、76年にイーグルス参加後もアンコールなどでよくプレイされました。77年のこの動画は初めて見ます。ドン・フェルダーとの掛け合いがカッコイイ。

この曲でいちばん耳になじんでいるのは、DKRCでの音源をそのままLP化したミラーボールのライヴ盤「You Can't Argue With A Sick Mind」('76)ですが、今思えばABCレーベルとの契約をこなすための苦肉の策とも思えます。

ウォルシュの時期があまりに有名なので、熱心なファン以外には残りの時期はあまり聞かれてない気もします。個人的にはトロイアーノ期の「Passin' Thru」('72)とボーリン期の「Miami」('74)も傑作だと思います。