walk#2

Angel in the Dark
■Walk On By / Laura Nyro
バート・バカラックの書いた曲で一番好きなのは、その日の気分によって変わるけど、"Walk On By"は、少なくとも確実に候補には入ってくるでしょう。
ディオンヌ・ワーウィックの為に書かれた64年のヒット(#6)です。この頃のワーウィックはScepterというレーベルから、バカラック作のヒットを飛ばしていましたが、個人的には深みが欠けるかなあ。
メイク・ウェイ・フォー・ディオンヌ・ワーウィック

アイザック・ヘイズのカヴァーというのは、今回初めて聞いたのですが、原曲のムードをかなり壊してヘイズ節になってます。これは69年に#30まで上がるヒットとなりました。
実はこの曲を初めて聞いたのは、このストラングラーズのカヴァーでした。78年にイギリスでヒットしたこのカヴァーは、ねじ伏せるような力強いarr。ジャン・ジャック・バーネルのうねりのあるbass、デイヴ・グリーンフィールドのorganが印象的です。現在は3枚目「Black & White」のボーナス・トラックで聞けます。
ブラック・アンド・ホワイト(紙ジャケット仕様)

いわゆるソフトロックの流れでもカヴァーが多く出てるようですが、一番のお気に入りはフォー・キング・カズンズです。これは芸能一家といわれたキング・ファミリーの女性4人組によるグループで、69年Capitolからのリリース。全曲有名ナンバーのカヴァーですが、従姉妹同士であるゆえの絶妙なハーモニーが素敵です。とりわけ、この"Walk On By"では切れ味鋭いです。ただしこういった音楽がすでに時代遅れになってしまった69年のリリースだったのが不幸でしたね。
イントロデューシング...ザ・フォー・キング・カズンズ(紙ジャケット仕様)

さて"Walk On By"を生で聞いたことがあるのはただ一度だけ。94年に行われたローラ・ニーロの2度目の来日でした。渋谷のON AIRの西か東かどっちかですが、すごい熱気でした。久々に出た新作をプロモートの為にやってきた伝説的な歌姫のライヴですから。正直「New York Tendeberry」のような世界ならつらいと思ってたのですが、弾き語りながらすごく楽しめました。ローラには「Gonna Take A Miracle」という自身のルーツを明らかにした、カヴァー集があって、それに入ってもおかしくないデルフォニックスのカヴァー、"Lala Means I Love You"とともに突然この"Walk On By"が歌われた時は、鳥肌が立ちました。
その後しばらくしてローラは亡くなってしまったのですが、遺作として01年にRounderからリリースされた「Angel In The Dark」では94年にピーター・ゴールウェイ*1のスタジオでレコーディングされた・ヴァージョンが収録されています。
ライヴ・イン・ジャパン1994 Live in Japan
また04年に発掘された71年フィルモアでのライヴ「Spread Your Wings And Fly」でもライヴ・ヴァージョンが聞けます。
Spread Your Wings & Fly: Filmore East May 30 1971

*1:ローラ・トリビュートのオムニバスのプロデュースも担当しました