■■■■初体験・リッジモントハイ('82米)

初体験 リッジモント・ハイ (ユニバーサル・セレクション2008年第8弾) 【初回生産限定】 [DVD]
監督:エイミー・ヘッカリング
主演:ショーン・ペンジェニファー・ジェイソン・リー
すでにここで書いてますが、米情報誌「エンターテインメント・ウィークリー」が映画史上の「学園青春ムービーベスト25」を選び、ヘッカリング監督の「初体験・リッジモント・ハイ」がなんと2位に選ばれました。昔からこの映画好きで応援してた(mixiのコミュにも入ってます)だけにうれしい。久々に見直しましたけどおもしろい!。以下役に立たない覚え書きです。
・まずはお約束の予告編。

・脚本を手がけたキャメロン・クロウは、10代から「ローリング・ストーン」誌に書いていたライターで、若作りなんですが実際に扮装し高校に潜り込んで「取材」したとか。クロウはその後「セイ・エニシング」で監督デビューしています。
・若手スターの原石的な映画と言えば、かつてブラットパックと呼ばれた一群を輩出したコッポラ監督の「アウトサイダー」がありましたが、本作もそうです。すでに何作か出演があったショーン・ペン(「タップス」('81)で注目された人ですが、マドンナと結婚して話題となりました。後にプロデューサー、監督にも挑戦。このスピコリ役は痛快です。)とフィービー・ケイツ(日本ではこの美少女スターをメインにしたプロモーションでしたが、実際、フィービーは脇役です)以外はほとんどこれが、デビュー作に近い人ばかりです。

・主役の一人、奥手な(実は奥手でもないんですが)ステイシーを演じたジェニファー・ジェイソン・リーは、「コンバット」のヴィック・モローの娘で、その後「ヒッチャー」、「ショート・カッツ」や「ジョージア」に出てます。この映画の時はまだ幼い風貌で、傷ついたり、中絶したりすると、見てる方も気持ちがブルーになるのです。その兄ブラッド役のジャッジ・ラインホールドは、その後「ビバリーヒルズ・コップ」の刑事役が印象に残ってます。ヘッカリング監督の友人と同棲して、監督とは同じアパートに住んでいたとか。有名なマスターベーションのシーンでは、フィービーのイヤそうな顔に注目。

・マイク役のロバート・ロマナスはクールなダフ屋を演じています。いわゆるロック世代で、チープ・トリックの"甘い罠"、"ドリーム・ポリス"、"サレンダー"のフレーズを歌いながらナンパに励むシーンもありました。彼の部屋にはディーヴォコステロ、フー、B52'sのポスターが貼ってありました。マーク役のブライアン・バッカーの内気な感じにも感情移入できました。ラスト近くで、ステーシーと新たな恋の予感をイメージさせるシーンには心温まります(ここで流れるのがティモシー・シュミットの"So Much In Love"ですが、CATV用に編集されたヴァージョンでは、別曲に差し替えられてました)。

・「パラダイス」('82)でデビューしたフィービー・ケイツは日本では美少女スターとして人気がありました。その後も「プライベート・スクール」("How Do I Let You Know"という曲を歌ってもいました)と言う学園ものにも出てましたが、

いちばん有名なのはスピルバーグの「グレムリン」でしょう(スピルバーグ映画のヒロインは大成しないと言ったのは手塚真氏でした)。「再会の時」のオーディションで知り合った(結局このオーディションの役はメグ・ティリーになりました)ケヴィン・クラインと結婚しています。ここではその後実生活でも親友同士だというステーシーの親友リンダ役。

・01年に亡くなったレイ・ウォルストンの出演は、ヘッカリング監督のリクエストだったといいます。僕にとっては「スティング」の人ですが、米国史担当のハンド先生も印象的。"I Don't Know"と黒板に書くシーンでは、ジミー・バフェットの同曲が流れます。教師陣では、生物担当のヴァルガス先生こと、ヴィンセント・スキャヴェリも一目見たら忘れられない風貌です。実際「グリニッジ・ビレッジの青春」('75)ではノー・クレジットだったのですが、見たことあるぞ!と頭を悩ました覚えがあります。05年に亡くなっています。

・この辺までは主役級ですが、以下は印象的な脇役。ブラッドの紹介でバーガー屋に転職し、ポカ連発のドジなアンソニーは、スコット・トムソン。「ポリス・アカデミー」シリーズに出る人です。扉が戻ってきてぶつかる、とか、コーヒー・ベンダーが止まらないというベタなネタもやってました。ブラッドの恋人リサのアマンダ・ワイス、冒頭ステーシーの初体験(このシーンの秀逸なのは、ステーシーの目線でとらえてる事。よって野球場のベンチの上の落書きのシーンが挿入されていました。余談ですがステーシーのセックスシーンではジャクソン・ブラウンの"Somebody's Baby"が流れ、マークとの場合、早くイッてしまうのでリフレインにも細工がしてありました)の相手となるステレオ・ショップ(?)のDW.ブラウンもTVMなどで活躍中の1人です。フットボール部のエース、ジェファーソンを演じたフォレスト・ウィテッカーは後にイーストウッド監督の「バード」で主役をえんじました。スピコリのサーファー仲間(ラリ友とクレジット)にはエリック・ストルツと「ER」アンソニー・エドワーズ。ブラッドが海賊コスチュームのファーストフードを辞めるきっかけとなったのは信号待ちの隣の車の美女(ハートのナンシー・ウィルソン。現クロウ夫人です)に笑われたからなんですが、このbeautiful girl in the carという設定はTバードのブロンド美人へのオマージュでしょう。もちろん「アメリカン・グラフィティ」。そういえば有線TVもないこの田舎町にロマンスなんてあるの?と言うリンダのセリフもありました。

・映画の原題のFast Timeは、時間の流れる速さみたいなことですが、謎があります。
この映画がステーシーの3年間を描いているのか、1年間なのかという点です。冒頭で米国史のクラスを探すシーン、バイト先のペリーズ・ピザの帰りリンダに「あんたは15歳」と言われるシーンで、ステーシーがリッジモントハイに入学したばかりの高1と考えると、最後に卒業パーティーがあるので高校時代の3年を描いた作品と考えられます(となると2つ上の兄ブラッドは高3です)エピソードが時制順に並んでるとすると、
高1入学→初体験→クリスマス→(年明け)マークとデート(同じころブラッドがバーガー屋をクビ)→リンカーン・ハイとの試合(高2の春?)→プールのシーン(高2の夏?)→ブラッド、シーフードのファーストフードを辞める→マイクと体験(高2の秋)→妊娠、中絶→卒業パーティー(高3)とあります。編集時にカットされたシーンもあるのでしょうか、あまりに速い展開(しかも高1と高3であまり変わりない風貌)です。アメリカのハイスクール事情には疎いのですが、入学から1年で卒業あるのでしょうか。(卒業後もステーシーはピザ屋でバイトを続け、マークは映画館でのバイトを続けます)ラストM1マートでスピコリに、バーガー屋にいたろ?と聞かれブラッドが7か月前、と答えるシーンが、1年説の裏付けになっていますが…

mixiのコミュでどなたかがUPされていた20年後のリッジモント・ハイ同窓会の画像です。(勝手にお借りしました)

アメリカン・グラフィティ」よろしくエンディングのその後では、スピコリは「溺れかけたブルック・シールズを助け、お礼金ヴァン・ヘイレンをバースデー・パーティに呼んだ」とあります。ステーシーとマークは「熱烈恋愛中、ただしまだ最後まで行っていない」とも。

・最後に音楽のこと。all新曲で固められたサントラから"Somebody's Baby"が#7、"So Much In Love"が#57まで上がりましたが、サントラ収録以外の旧曲ではゴーゴーズの"We Got The Beat"が冒頭で、トム・ペティ&ハートブレイカーズの"American Girl"、ゼッペリンの"Kasimir"がかかります。僕が一番好きなのはジョー・ウォルシュが一人で録音した"Waffle Stomp"で決めのフレーズがあちこちでかかります。

Fast Times At Ridgemont High: Music From The Motion Picture