thing#3

Nick of Time [12 inch Analog]
17■Thing Called Love / Bonnie Raitt
70'sから活動を続けてきたヴェテラン・アーティストがそうだったように、80'sのボニー・レイットは、一言で言うと「低迷」でした。時代の流れに迎合した音作りをするのか、原点に返った音作りをするのか、迷いがあったと思います。82年の「Green Light」はバンプ・バンドをバックにした勢いのある作品でしたが、それに続く作品がなかなか出ず、ロブ・フラボニをプロデューサーに迎えた新作は未完に終わり、結局オクラ入りしたそのアルバムからのナンバーを含む9枚目「Nine Lives」('86)*1は、MTVを意識した80'sロック型の1枚で、ボニーの資質とはかけ離れたものでした。
Nine Lives
その後Warner Brosとの契約も切られ、しばらく沈黙していたボニーの名前を見つけたのは、ハル・ウィナーがプロデュースしたディズニー映画の主題歌のオムニバス、「Stay Awake」('88)で、ウォズ(ノット・ウォズ)のドン・ウォズと共に"Baby Mine"を歌っています。そこでのブルージーな歌声はデビュー当時を思わせ、ピーター・バラカンのラジオ(あの当時熱心にリクエスト葉書を書いて、2度ほど読まれたこともありました)で聞いた時におおっと思った事を覚えています。そしてドン・ウォズのプロデュースによる「Nick Of Time」('89)をCapitolからリリースして鮮やかな復帰となりました。時代が一回りして、ルーツ音楽回帰の機運も高まっていたことも幸いしたのでしょうか、このアルバムはこの年のグラミーを受賞しています。
そのオープニングを飾ったのがジョン・ハイアット作の"Things Called Love"です。ハイアットという人はデビューは74年と古く相当なキャリアの持主のsswです。日本では82年の「All Of A Sudden」(予感)がデビューだったと記憶してますが、当時聞きましたが何も感じませんでした(^^; そのハイアットの名前が日本でも知られるようになったのは、ニック・ロウエルヴィス・コステロらとの交流が盛んとなった88年の「Bring The Family」あたりです(この曲もそこに入ってました)。さてこの"Thing Called Love"はドライヴするスライドgがなかなかカッコイイナンバーで肌触りは低迷期の作品とは全然違います。この音が89年当時時代にマッチしていたとは思えませんでしたが、時代遅れという感じはしませんでした。何よりも楽しそうに演奏する姿が目に浮かびます。


こちらは作者のハイアットが加わったFarm Aidでのライヴ

*1:ジャケットは好きなんですが