can't#3

パンディモニアム・シャドウ・ショウ(紙ジャケット仕様)
31■You Can't Do That / Nilsson
67年にリリースされたニルソンのデビュー・アルバムがこの「Pandemonium Shadow Show」(RCA)です。モンキーズが"Cuddley Toys"を、ロネッツが"Paradise"を、MFQが"This Could Be The NIght"を、ヤードバーズが"Ten Little Indians"を取り上げるなどしてソングライターとして注目を浴びていたニルソンが、銀行をやめ音楽の道で食っていこうと決心した1枚です。僕は長い間(というか、今も)ニルソンに対し、どうも距離を感じているのですが、この1枚目に限ってはその距離も比較的近いような気もします。67年のデビューのNYのsswということで、位置的にはレーナード・コーエンやジェイムズ・テイラーに近いものがあるのでしょうが、音楽はかなり違います。彼らがフォーク・ミュージックにルーツがあるのに対し、ニルソンの場合はブリル・ビルディング・ポップスや50's以前のノスタルジック・サウンドからの影響が強く感じます。
このデビュー作では、モンキーズヤードバーズがとりあげたナンバーの自作自演ヴァージョンに交じってビートルズやスペクター作品が取り上げられています。ビートルズの"You Can't Do That"は、11曲のビートルズ・ナンバーのフレーズを盛り込んでおり、そのセンスの良さに脱帽です。BS&Tがカヴァーした"Without Her"もここに収録されていました。
例えば名作と言われる「Harry」('69)、「A Little Touch Of Schmilsson In The Night」('73)あたりが全く受け付けない僕みたいな人にとっては、やはりこのファーストは救いのような1枚なのです。

というわけで、今年もこのブログをご覧下さった皆様、検索して引っ掛かった方々、コメント、TB等いただいた同好諸氏、お世話になりました。来年もよろしくお願いします。