friend#2

ノー・リーズン・トゥ・クライ

ノー・リーズン・トゥ・クライ

48■Hello Old Friend / Eric Clapton
70'sのクラプトンの中でも大好きな1枚が、76年の「No Reasons To Cry」です。甘すぎるという評価もありますが、砂糖の甘さではなくフルーティーな甘みを感じます。やはりキーとなるのがイヴォンヌ・エリマンとマーシー・レヴィの二人の女性voとディック・シムズのkbでしょう。今回は更にマリブのシャングリラ・スタジオ録音で、ザ・バンドの面々やディランが加わった事もあって、違うマイルドさがあります。その"Sign Language"(ディランとのデュエット)や"All Our Past Time"(リック・ダンコとの共作)ばかりが目立ちますが、次の「Slowhand」と並んで、ジョージ・テリー(g)、カール・レイドル(b)、シムズ(kb)、ジェイミー・オールドエイカー(ds)、マーシー・レヴィー(vo)のクラプトン・バンドの円熟の技を堪能できるアルバムです。
この頃のクラプトンは、従来のブルーズ一辺倒から、ポップなものに興味が出てきたようにも思われ、ここでマーシー・レヴィーが歌った"Innocent Time"は、76年版デラニー&ボニーといった趣き。けれどずいぶん洗練されています。
洗練と言えば、#24というスマッシュヒットとなったシングルの"Hello Old Friend"は、organやコーラスの使い方が、太陽の光のごとき明るく爽やかな感じを出しています。この明るさはそれまでにクラプトンにはなかったものでしょう。これや"Beautiful Thing"(これはダンコとリチャード・マニュエルの共作になります)も気持ちいいです。

WOWOWでもOAされた77年4月のBBC,Old Grey Whistle Testから。リード・パートはジョージ・テリーに任せています。この76〜77年のステージングはそれまでのクラプトンにないポップな歌もの中心で、レゲエ色は消え、ブルーズ色もかなり抑え気味になっています。その関係か70'sのライヴ音源を収めたボックスからもオミットされているのが残念ですね。

このメンツによるクラプトン・バンドは78年の「Backless」を最後に解散するのですが、マーシー・レヴィーは同じレーベルのRSOが製作した映画「タイムズ・スクエア」の主題歌、"Help Me"をロビン・ギブ(ビージーズ)とデュエット。その後Epicから「Mercella」というソロを出しましたがAOR時代に乗っかったあまり印象に残るものではなかった記憶(というかすっかり忘れてます〜新宿シスコで購入)。マーセラ・デトロイトと名乗ったのは、80'sに入ってからですが、88年には元バナナラマのシヴォーンとシェイクスピアズ・シスターを結成しています。

Jewel

Jewel

Hormonally Yours

Hormonally Yours

クラプトン・バンドの一員で、デレク&ザ・ドミノスからクラプトンと行動を共にした、06年のカール・レイドルの追悼コンサートの動画で、クラプトン抜きの5人が参加しています。

そしてジェイミー・オールドエイカーのソロにもレヴィーは参加(別曲でクラプトンも参加)、"Promises"を歌っています。
マッドドッグス・アンド・オーキーズ

マッドドッグス・アンド・オーキーズ