blind#2

クリスティン・パーフェクト(紙ジャケット仕様)

クリスティン・パーフェクト(紙ジャケット仕様)

151■I'd Rather Go Blind / Chicken Shack
67年の英ブルーズ・ブームは、3大ブルーズ・バンドと呼ばれるフリートウッド・マック、サヴォイ・ブラウン、チキン・シャックを生みました*1。チキン・シャックは、スタン・ウェッブ(g,vo)とクリスティン・パーフェクト(p,vo)をフィーチャーした4人組で、この3バンドの中では最後までブルーズにこだわったバンドです。陰影をつけたやや暗めのクリスティンのvoは、当時のブルーズ・バンドでは珍しい存在でした。68年のデビュー作「40 Blue Fingers Freshly Packed And Served」は#12、69年のセカンド「OK Ken」は#9まで上がったといいますから、ブルーズ・ブーム恐るべしです。
Forty Blue Fingers, Freshley Packed and

Forty Blue Fingers, Freshley Packed and

Ok Ken

Ok Ken

クリスティンは69年に脱退し、フリートウッド・マック*2ジョン・マクヴィーと結婚し引退すると発表されました。クリスティンをフィーチャーしたシャックの69年のシングル、"I'd Rather Go Blind"は、エッタ・ジェイムズのカヴァーで、#12とシャック最大のヒットとなりました。シャックのオリジナルLPには未収録で、結局レコーディング活動は続けるという事になり、70年の初ソロ「Christine Perfect」に、ご祝儀としてか収められています。


このファーストソロを久々に聞いたのですが、何とも渋い魅力があります。その後の*3ポップな作風とは裏腹に、やや暗めのvoとメロディは、英ブルーズロックの佳作としてもっと注目されてもいいでしょう。プロデュースはマイク・ヴァーノンで彼が設立した英ブルーズの名門レーベル、Blue Horizonからリリースされています。
話は前後しますが、ヴァーノンは、クラプトンが参加したブルーズブレイカーズを手がけたことで知られた人ですが、68年にBlue Horizonを設立、第1弾のマックのデビュー作は#5まで上がるヒットとなりました。マックに続いて見出したのがキダーミンスター出身のウェッブ率いるシャックだったのです。
クリスティンのソロには、初期のヤードバーズのメンバーだったトップ・トーパム(g)、リック・ヘイワード(g)らが参加していますが"For You"など一部の曲を除いてギタリストの影は薄く、クリスティンのpianoをメインとしたブルージーな内容になっています。

さてクリスティン脱退後のシャックは、サヴォイ・ブラウン*4と濃密な関係を築き、デイヴ・ビドウェル(ds)、ポール・レイモンド(kb)がそろってサヴォイズに参加したり、しまいには、73年にシャックを解散させたウェッブ自身もサヴォイズに加わったり*5

BOOGIE BROTHERS / WIRE FIRE

BOOGIE BROTHERS / WIRE FIRE

*1:って言うかこの3バンド以外にクライマックス・シカゴ・ブルーズ・バンド、グランドホッグス、ジョアン・ケリー、TYA、ジェスロ・タル、エインズリー・ダンバー・リタリエーションなど新世代のバンドがこぞって登場したので「ブーム」だったのですが…

*2:クラプトンの後任としてブルーズブレイカーズに参加したピーター・グリーンがブルーズブレイカーズのリズム隊を誘って結成。68年に「Peter Grren's Fleetwood Mac Featuring Jeremy Spencer」(何とも公平性にこだわったタイトル!)でデビュー

*3:71年にフリートウッド・マックに参加し、ライヴ活動も復帰したクリスティンは、その後めきめきとメロディー・メーカーぶりを発揮します

*4:スライドの名手キム・シモンズを中心に66年に結成、黒人をフィーチャーする反則技もありますが、初期はクリス・ユールデン(vo)と後のフォガットの3人をフィーチャー

*5:この時はシモンズ、ウェッブ、ミラー・アンダーソンのトリプルgでした。アルバムは「Boogie Brothers」