色#3

Crosby Stills & Nash

Crosby Stills & Nash

233■Suite:Judy Blue Eyes / Crosby Stills & Nash
CS&Nのデビュー作のトップに収められた代表曲の"Suite:Judy Blue Eyes"は、複雑な構成の組曲で、張り詰めたようなイントロのac-gでいきなりやられます。僕がこの曲を初めて聞いたのは、77年ごろで、センチメンタル・シティ・ロマンスのマネージャーをされていた竹内正美さんがDJの「ミッドナイト東海」だったと思います。それまでいきつけのレコード屋の仕切りで、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの名前は知っていたのですが、こんなに緊張感のあるフォークとは思いもせずに、かなり衝撃でした。そうフォーク(ソング)なんてあいまいな日本語とはかけ離れた真摯なものだったのです。
スティヴン・スティルスの当時のGF*1のジュディ・コリンズの事を歌ったこのナンバーは、4つのパートに分かれています。ステージではシンプルな弾き語りに終始するのですが、ビル・ハルヴァーソンがエンジニアを務め、メンバー3人がプロデュースした、「Crosby,Stills & Nash」('69)では、サイケデリックな意匠を凝らし、それが見事な効果を生んでいます。とりわけds(クリアライトというバンドにいたダラス・テイラーを起用)以外のほとんどの楽器を担当したスティルスの力量がいかんなく発揮されています。ところどころでアクセントとなるレズリー・スピーカーを通したorganもこの長尺のナンバーに彩りを与えています。

76年のスティルス・ヤング・バンドのツアーで、それまでCS&Nのステージでしかやってなかったこの曲を解禁しましたが、ハーモニーのマジックは失われ失笑を買いました。

*1:ジョニ・ミッチェル、リタ・クーリッジら彼らを取り巻くサークルの自由恋愛なムードは結構すごいものがあります