おおあらし

Tempest

Tempest

■Tempest
コロシアム解散後、同僚のマーク・クラーク(b,org,vo)を誘ってジョン・ハイズマン(ds)が結成したのがこのテンペストです。イギンボトムズ・レンチにいたアラン・ホールズワース(g,vn)、ジューシー・ルーシーのポール・ウィリアムス(vo)を加えた4人組。コロシアムでやってたジャズロックとはまた別の路線のハードロックで、ウィリアムスのヘヴィなvoは、ジューシー・ルーシーではカントリー・ロックやスワンプ〜サザン・ロック的な背景もあって、それほど重くはなかったのですが、ここでは叩きつけられるように重いです。ホールズワースが直前にいたバンドがジャズ・バンドに近いので、ジャズロック的なムードはありますが、あえてそれを封印し歌ありのハードロックに徹しています(それでもジャジーなムードは漏れてきますが)。
1曲目がおどろおどろしい"Gorgon"なので、このファーストの「Tempest」(Bronze)ギリシア神話の妖魔のイラストがジャケットの上方に、そして中央から下はなにやら不気味な怪物。リリースされた73年及び初聞きだった79年頃には思いもつきませんでいたが、これってクトゥルー神話の何かですよね、きっと。
そういったホラーなムードは、このバンドをプログレとして認知してしまってますが、音は基本的にハードロックです。ホールズワースの無茶な早弾きは"Foyers Of Fun"や"Strangeher"で聞かれますが、このバンドらしい美学を貫くのはviolinの入った"Upon Tomorrow"です。
74年には元パトゥーのオリー・ハルソール(g,vo)も加わり2本のgとなりますが、まもなくホールズワースとウィリアムスが脱退(この5人組時代のBBC音源は数年前にCD化されました)。3人となり「眩暈」という邦題のついた「Living In Fear」をリリースしますが、ハルソールのvoの入った小気味いいサウンドは、全然重くない全く別のバンドな印象です。