ホームズに目覚めたのは中学1年の頃か。よって最初に熱中したミステリ作家はドイルだったわけ。初めて読んだのは小学生時代子供向けに抄録版となった「まだらの紐」でその時は別に何も感じなかった。2つの長編よりも先に第1短編集「冒険」を手にした。もちろん
延原謙訳の
新潮文庫版。当時あれしか手に入らなかったし、安かった(現在は創元からもハヤカワからも
ちくま文庫や
原書房からも出ている)。その「冒険」(1892)はストランド誌に連載されたもので、ホームズ人気爆発となった読み切り短編。「
赤毛連盟」やら「5つのオレンジの種」(
KKKのことを初めて知った)、「
唇のねじれた男」など有名作品(もちろん「まだらの紐」も)もあるが、冒頭を飾る「
ボヘミアの醜聞」があまりにも鮮やかなタッチで、のめりこむきっかけとなったのです。ホームズは、
安楽椅子探偵という机上の推論で事件を解決するタイプではなく、変装したり、サクラを雇って犯人をはめたりするタイプの探偵で、その方法がいかんなく発揮。”あの女”と称される
アイリーン・アドラーも印象的。