#5■ボヘミアの醜聞:アーサー・コナン・ドイル

シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)

シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)

ホームズに目覚めたのは中学1年の頃か。よって最初に熱中したミステリ作家はドイルだったわけ。初めて読んだのは小学生時代子供向けに抄録版となった「まだらの紐」でその時は別に何も感じなかった。2つの長編よりも先に第1短編集「冒険」を手にした。もちろん延原謙訳の新潮文庫版。当時あれしか手に入らなかったし、安かった(現在は創元からもハヤカワからもちくま文庫原書房からも出ている)。その「冒険」(1892)はストランド誌に連載されたもので、ホームズ人気爆発となった読み切り短編。「赤毛連盟」やら「5つのオレンジの種」(KKKのことを初めて知った)、「唇のねじれた男」など有名作品(もちろん「まだらの紐」も)もあるが、冒頭を飾る「ボヘミアの醜聞」があまりにも鮮やかなタッチで、のめりこむきっかけとなったのです。ホームズは、安楽椅子探偵という机上の推論で事件を解決するタイプではなく、変装したり、サクラを雇って犯人をはめたりするタイプの探偵で、その方法がいかんなく発揮。”あの女”と称されるアイリーン・アドラーも印象的。