シェイクしているところのもの

ホワッツ・シェイキン

ホワッツ・シェイキン

■What's Shakin':VA
66年にElektraから出たホワイト・ブルーズ周辺の伝説的なコンピレーションがこの「What's Shakin'」です。80'sに入って「青春秘蔵盤」としてワーナーから再発されたこともありまして、僕が最初に聞いたのはその時。デビュー前のラヴィン・スプーンフルが4曲、ポール・バタフィールド・ブルーズ・バンドが5曲でこのコンピの目玉になっています。スプーンフルは、セバスチャンの書く親しみやすいメロディーの曲ではなく、ビート色の濃いガレージっぽい演奏。これがなかなかカッコイイ。チャック・ベリーの"Almost Grown"、コースターズの"Searchin'"もいいですが、オリジナルの"Good Time Music"がバンドの本質を表しています。BBBは、切れ味鋭いマイク・ブルームフィールドのgとバタフィールドのharpが聴きものです。短いインストの"Off The Wall"が昔から好き。
あとブルーズブレイカーズとクリームの間にエリック・クラプトンがセッションで加わった、パワーハウスが3曲。スティーヴ・ウィンウッド(vo,kb)、ジャック・ブルース(b)、ポール・ジョーンズ(harp)、ピート・ヨーク(ds)というメンツで、白いブルーズを聞かせます。"I Want To Know"は昔から好きなもの。更にアル・クーパーとトム・ラッシュが1曲ずつの参加となっています。

Carnival(カーニヴァル)

■■The Carnival('69)

Carnival

Carnival

以前keiさんがセレクトに入れてたカーニヴァルはソフトロックというよりも、ブラジルものでしょう。買ってから気がつきました。69年にWorld Pascificからリリースされた唯一のLPでマーメイズのテリー・フィッシャーとセルジオ・メンデス&ブラジル66のジャニス・ハンセンの2人のvoにトミー・ニール(b)、ホセ・リアリス(perc)の4人がメンバー。バックにはハル・ブレイン、ジョン・ゲリン(ds)、ジョー・オズボーン(b)、マイク・ディジー(g)、ラリー・ネクテル(kb)らが参加。注目すべきは"Sweet For My Sweet"、"Turn Turn Turn"、"Take Me For A Little While"、"Walk On By"などの有名カヴァー曲で、これをありきたりでないarrで料理するなどさすが、prodも兼ねるarr担当のボーンズ・ハウです。

train#2

WHERE WERE YOU WHEN I NEEDED YOU

WHERE WERE YOU WHEN I NEEDED YOU

■Lolipop Train / Grass Roots
グラス・ルーツのデビュー曲"Where Were You When I Needed You"には3つのヴァージョンがある事が知られています。まずはP.F.スローンとスティーヴ・バリという二人のソングライターが最初にレコーディングされたヴァージョン。これをアーティスト名にグラス・ル−ツと名付けました(#28)。
次にグラス・ルーツというバンドを見つけるために、シスコ出身のベドウィンズが選ばれ、ここのvo、ビル・フルトンが歌ったヴァージョン。この曲を元にしてLPのレコーディングが開始されましたが、バンドは空中分解してしまい、スローン&バリによって粛々とレコーディングが続けられ、同名のファーストが完成しました。
3つ目のヴァージョンはDunhillレーベルがやっと見つけてきた新生グラス・ルーツ(その間ロブスやラヴにも頼みましたが断られた経緯があります)である、13エレヴェーターのロブ・グリルが歌ったものです。
さて60's後半のブラス・ロック的なダンヒルサウンドのグラス・ルーツにはほとんど興味はないのですが、このデビュー作(ほとんどがスローンが歌っているらしい)は、僕の理想のフォークロックが収められています。この"Lollipop Train"は、まるでスローンのソロに入ってもおかしくない世界です。

Cheap Trick(チープ・トリック)

蒼ざめたハイウェイ

蒼ざめたハイウェイ

a■In Color('77)
b■Heaven Tonight('78)
フューズというマイナー・バンドにいたリック・ニールセン(g)とトム・ピーターソン(b)が73年に結成したハード・ロックがチープ・トリック。デビューは76年Epicからで、prodはエアロスミスで名を売ったジャック・ダグラス。そのデビュー作は日本では渋谷陽一の目にとまり、彼のラジオ番組で熱狂的にOA。乾いたハードロック"The Ballad Of TV Violence"は何度聞いた事か…

77年のaでは甘い"I Want You To Want Me"がヒットし、本格的なブレイクのきっかけが日本で起きてくる。3枚目のbは日本先行でprodは前作同様トム・ワーマン。この後「At Budokan」('78)が本国でも大ヒットし逆輸入の形で本国でもブレイク。以後長い歴史の中で浮き沈みが続く。
ピーターソンが参加した最後の6th「All Shook Up」('80)はジョージ・マーティンがprodした意欲作だけど、セールス的には失敗。"Stop This Game"なんか当時よくラジオでかかってたなあ。
ロイ・トーマス・ベーカーがprodした82年の「One On One」からは"If You Want My Love"がシングルとなりもっと売れるだろうと思ったのに、そうでもなかった。
現在はパワーポップの元祖という視点で語られるヴェテランだけど、あの黄色い歓声の喧騒をリアルタイムで知ってるとなかなかそうは思えない。

Cher(シェール)

a■■3614 Jackson Highway('68)
b■■Bang Bang My Baby Shot Me Down〜The Best Of('90)
カリフォルニア出身の女性シンガーのシェールは、現在は女優としての方が知られているかもしれません。ソニー・ボノと組んだソニー&シェールとして64年から70's初めまで活動。このデュオの最大のヒットは、プリテンダーズのクリッシー・ハインドがカヴァーした"I Got You Babe"('65,Atco)でしょう。そしてデュオと並行してソロでも活動を始めます。64年にCherilyn名義で出た"Dream Baby"(Imperial)は、ボノ作でドリーミーなスペクター風ポップス。
続くのが65年のディラン曲"All I Really Want To Do"(#15)で、こちらはバーズよりも先にヒットさせています。バーズのヴァージョンがいわゆるフォーク・ロック作品としてarrされていましたが、その象徴ともいえる12弦gよりもシェールのvoの方が前面に出ています。

bは90年にEMIから出たImperial時代のコンピレーションCDは、さわやかなイメージのシェールの楽曲はそれほど多くなく、Imperial時代では、ジャッキー・デシャノンのカヴァー"Come And Stay With Me"、ややダークな味わいはありますがキンクスのレイ・デイヴィスのあまり知られていない作品"I Go To Sleep"、"Where Do You Go"、ボノとジャック・ニッチェが書いてサーチャーズがヒットさせた"Needles And Pins"など。66年には下世話というか、通俗的なメロディの"Bang Bang"がヒット(#2)して、むしろそういった路線が後に定着します。

ナンシー・シナトラがカヴァーしたこの曲はタランティーノ監督の「キル・ビル」でも冒頭で使われていました(そっちのヴァージョンが)。68年にはサザン・ソウルにチャレンジした意欲作aをリリース(ただしダスティ・スプリングフィールドやルルに比べると大したことない)。
この後は71年にはKappから"Gypsys,Tramps & Thieves"が#1となるヒットとなります。この路線は"Half Breed"('73#1)、"Dark Lady"('74#1)と続きます。エキゾティックでゴージャスで下品なメロディーの数々。


76年にはWarner Brosよりフィル・スペクターがprodのニルソンとのデュエット曲"Love Like Yours"(マーサ&ヴァンデラスのカヴァー)をリリース。実はこれが一番好きです。Warner Spectorというレーベルも短命に終わり、ディオンの「Born To Be Together」くらいしかないのでは?

この頃は、オールマン・ブラザーズ・バンドグレッグ・オールマンの恋人で、「Allman & Woman」というデュオアルバムも出しています。80'sに入ると映画の仕事が多くなりメリル・ストリープがまだ有名でない頃の傑作「シルクウッド」やオスカーを取った「月の輝く夜に」が有名。

シルクウッド [DVD]

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そして99年、半世紀ぶりの#1ヒット"Believe"が出ました。

Cherry People(チェリー・ピープル)

Golden Classics Edition

Golden Classics Edition

■The Cherry Tree('68)
94年にCollectablesからCD化されたチェリー・ピープルの唯一のLP。ワシントン出身のソフトロック〜バブルガムで、スパンキー&アワー・ギャングやキースを手がけたジェリー・ロスがprod。68年にロスのレーベル、Heritageからリリースされたもの。#45まであがった"And Suddenly"は、レフト・バンクのカヴァーで甘酸っぱいメロディーが印象的で、これに代表されるようにバブルガム風味のメロディアスなナンバーを満載。ノーザン・ソウルっぽい"Do Something to Me"、エレキ・シタールがうなる"Girl On The Subway"、"Six O'clock"風の"Ask Children"もいい。ダグ・グリムズ(vo)を中心とする5人組だが、メンバーには後にエンジェルのパンキー・メドウズ(g)もいた!