Band Wagon / 鈴木茂

昨日のicさんの日記で紹介されていた鈴木茂のファーストソロ。はっぴいえんど〜キャラメルママの活動を経て、自己のバンド、ハックルバックを結成。そして単身渡米し75年にLAでレコーディングされた1枚。バックに参加してるのは、リトル・フィートのケニー・グラッドニー(b)、リッチー・ヘイワード(ds)、ビル・ペイン(kb)サム・クレイトン(perc)、タワー・オブ・パワーのデヴィッド・ガリバルディ(ds)、元サンタナのダグ・ローチ(b)、元スライ&ザ・ファミリー・ストーンのグレッグ・エリコ(ds)ら。とにかく日本のミュージシャンとはかなりレベルの差があって、茂もついてゆくのが精一杯といった曲もある。
インスト以外は、全曲松本隆作だが、なんといっても代表曲の”砂の女”。都会的なarrでユーミンの”卒業写真”でみせた魅惑のソロを展開。ここではトレードマークのスライドではなく流暢に駆け抜けるソロを聞かせるが、ファンキーなクラヴィネット(ドン・グルーシン)の存在も忘れられない。”夏の匂い”はあまりに大滝詠一を意識した歌い方が聞き込むにつれて飽きる(^^) 松本の小説のタイトルにもなった”微熱少年”は、♪天井の木目ゆらゆらと揺れて溶け出した〜のくだりがなんとも松本的。ここでもファンキーなクラヴィが聞ける。インスト”スノー・エキスプレス”はフィート(もちろんgなし)をバックにしてのもので、あえてスライドを封印し、クールなフィンガー・ピッキングできめる。浮かんでは消えてゆくフレーズの数々。ついてゆくのがやっとの感じもあるが、わるくない。ビル・ペインのエレピがすばらしい。”人力飛行機の夜”は粘りつくようなスライドが入ったファンクチューン。ウエンディ・ハースのクラヴィがここでも活躍している。歌い方が大滝入ってるが。”100ワットの恋人”は松本流のお遊びが歌詞に組み込まれている。ハックルバック時代に再演してるナンバーだが、そっちのスマートな感じに比べると、なんとも迫力あるヴァージョン。ファルセットは似合わないなあ(^^; ”ウッドペッカー”は後のかせきさいだあが引用するインストだが、ブラスも入って軽快な出来に仕上がっている。”夕焼け波止場”は、再びフィートとの共演。セカンドラインニュー・オーリンズ・ファンク・スタイルで、ローウェル・ジョージになりきった茂のプレイが気持ちいい。ラストの”銀河ラプソディー”は、後期はっぴいえんどを思わせる出来。
思わず全曲解説になってしまったのだ。
バンドワゴン