Rosebud

Rosebuds
ローズバッド(薔薇のつぼみ)といえば映画「市民ケーン」だが、ElektraからLPを出している女性フォークシンガー、ジュディ・ヘンスキとジェリー・イエスター(元MFQ〜ラヴィン・スプーンフル)のコンビ(当時夫婦)が、元タートルズのデヴィッド・ヴォート(b)、元スパンキー&アワー・ギャングのジョン・サイター(ds)、セクションのクレイグ・ダーギー(kb)と組んだ「スーパー・グループ」(?)。71年にRepriseから唯一のLPを出している。ヘンスキ=イエスターの前作「Farewell Aldebaran」(きよさんのブログで紹介)はネガポジ反転のジャケから想像されるほどではないが、アシッド、サイケデリックの香りを持ったもので、僕なんかにはちょっとつらいのだけど、ローズバッドはフォークロック風味もあって楽しめる。メンバー全員が歌えるこのバンドの音楽は、一言では表現できないが、フォークを根底に持ちながら、ジャズ、ヴォードヴィル、フォークロック、カントリーロックなどが混ざったオリジナルなものだった。ヘンスキとダーギーの共作が多く(”Salvation”はジョニー・アリディがカヴァーしてフランスでヒットそしたという)、このコンビは後に結婚するのだけど、ダーギーが唯一のソロで取り上げた”Reno”のオリジナル・ヴァージョン(gはマイク・ディージー)もここで聞ける。イエスターが歌う”Lorelei”は感動的なバラードで、ソフトサイケな装飾がほどされていて、それが効果をあげている。”The Yum Yum Man”はバディ・エモンズのsteelの入ったものだが、ストレートなカントリー・ロックには聞こえない、不思議なナンバーだ。
ほぼ全曲良いが、ベストトラックは楽しさで”Panama”、味わいで”Roll Home Cheyene”かな。