60'sのストーンズ(i)

60年代のストーンズって、ずいぶん前に聞き込んだつもりだったけど、米AbkcoからSACDデジパックで出て('02)、最近それが紙ジャケになったことで、デジパック仕様のものが中古屋に流れている。バーゲンもあったので、何枚か買ってみた。ビートルズ同様英米でジャケット、曲順、タイトルが違い、オリジナルという事を考えると、英国仕様で聞いてゆくのがスジだろう。けど60'sの英国と言うとEPの存在なくしては無理なので、手軽な米国仕様で。
■12X5
12X5
64年の「England's Newest Hit Maker」は、英国に遅れること1ヶ月のデビュー作だったが、2枚目の「12X5」('64)では英国の「No2」よりも3ヶ月早いリリースとなった。64年のチェス・スタジオ録音を含むもので、02年のリマスターで一番音の分離がよくなったと言われてるもの。例によって大半がカヴァーで、チャック・ベリーの"Around And Around"、アーマ・トーマスの"Time Is On My Side"(organイントロのヴァージョンは初聞きだった。やっぱり親しんだgのイントロのやつがいい)、ヴァレンティノスの"It's All Over Now"、ドリフターズの"Under The Boardwalk"(作者はケニー・ヤングとアート・レスネック)、ウィルソン・ピケットの"If You Need Me"(これはいい曲だ)、デイル・ホーキンズの"Susie Q"など。有名なインスト"2120 South Michigan Avenue"は、チェス・スタジオの住所をそのままにした即興的なもの。
■Now
The Rolling Stones, Now!
米3枚目の「Now」は英「No2」に呼応するもので、前作以上にR&B色が濃いが、今回ちゃんと聞いて、前作よりも好みだった。
ソロモン・バークの"Everybody Needs Somebody To Love"は、当時誤ってリリースされたヴァージョンをそのまま再録。アルヴィン・ロビンソンの"Down Home Girl"はブライアン・ジョーンズのharpをフィーチャーした濃い演奏でドロッとした感じがニュー・オーリンズっぽい。チャック・ベリーの"You Can't Catch Me"をはさんでの"Heart Of Stone"は今回のCDで、各楽器の分離のよさに一番ビックリしたもの。今回数少ないオリジナルの"What A Shame"は、ハウリン・ウルフ気取ったスライドが面白い。これに白いharp(これはミック・ジャガー)がからむと完全に初期ストーンズだ。ボ・ディドリーの"Mona"をはさんで、チャック・ベリー・スタイルのブギ、"Down The Road Apiece"では、ジャズっぽいgも聞かれおもしろい。"Off The Hook"もオリジナルだが、このイントロどっかで聞いたことあるが思い出せない。"Pin In My Heart"はオーティス・レディングのヴァージョンを手本としてるけど、元々はアラン・トゥーサン作でアーマ・トーマスがヒットさせた"Rule Of My Heart"。バーバラ・リンの"Oh Baby"はイントロのgがカッコイイ。ウィリー・ディクソンのブルーズ"Little Red Rooster"のカヴァーが全英#1になったとは今では信じられないけど、再びハウリン・ウルフを気取ったブライアンのスライドがいい味。ルルがヒットさせたオリジナルの"Suprise Suprise"は、なんかスカスカでルルのヴァージョンの方がカッコイイ。