don't#2

想い出にさようなら
■I Don't Want To Hear It Anymore / Melissa Manchester
メリサ・マンチェスターというと78年の"Don't Cry Out Loud"(後にリタ・クーリッジもカヴァー)、さらにイメージチェンジしたダンサブルな"You Should Hear How She Talks About You"('82)がすぐに思い出される。それ以前の作品ってMOR的なイメージがあったが、実はどっちかというとソウル的な感じだったのだ。NYのブロンクス出身で、同郷のローラ・ニーロ同様黒人音楽を聞いて育ったらしいが、父親がクラシック畑の人という事もあって、非黒人音楽的な匂いもあるし、何よりも初期は弾き語りが多かったようだ。初ヒットが"Midnite Blue"(#6)で、これが入った「Melissa」は3枚目として76年にアリスタからリリースされた。prodはアンダース&ポンシアのヴィニ・ポンシアで、大半がキャロル・ベイヤー・セイガーとの共作。この"I Don't Want To Hear It Anymore"はランディー・ニューマンの古い曲で、安アパートの壁を通して聞こえてくる隣住人の噂話はうんざりといった内容の歌を、シンプルな弾き語りで聞かせる名演。もちろんこういうあまりにNY的なイメージの曲だけでなく、敬愛するスティーヴィー・ワンダーに捧げられた"Stevie's Wonder"や、そのスティーヴィーのカヴァー"Love's Havin' Around"といった踊れるナンバー、ラインストーンズがカヴァーしたファンキーな"Party Music"、うきうきしてくる"We've Got Time"などいろんなタイプのナンバーが並んでいる。