08008 Grey Skies:大貫妙子

Grey skies(紙ジャケット仕様)
中学の頃はかぐや姫が好きだった事もあって、同じクラウンのティン・パン・アレー大貫妙子の作品って何となくは知っていたけど、あの時代の中学生が好むような音ではなかった。あれから30年経ってター坊自身納得行く形でのクラウン時代のリイシューが実現した。それが07年の紙ジャケだ。
シュガー・ベイブ解散後の76年にレコーディングされた初ソロ。ジャケットに映る白いシャツを着たター坊はナチュラルな雰囲気に満ちている(長らく封印されたシャワーの裏ジャケが復活)が、中身はそうかというとそれがまたビミョーなのだ。
"時の始まり"はシュガー・ベイブ時代のレパートリーで達郎のarr。寺尾次郎(b)、上原裕(ds)といった旧シュガーの面々が参加している。途中のtbソロは向井滋春。"約束"は坂本龍一の弾くel-pのイントロは覚えやすいがメロディーに魅力がない。この曲のデモ・ヴァージョンが今回ボーナスで収録されているが、達郎の繊細なgが聞ける。"One's Love"はヨーロッパ路線に向かう前のター坊の特徴である和っぽいarr。佐藤博のsyn、国吉征之のflも効果的ではあるが、なんとなく不安定で落ち着かない。シュガー・ベイブ結成のきっかけとなった四谷ディスク・チャート時代のデモも今回話題の"午后の休息"は、本編では後にラスト・ショーの徳武弘文の弾くアコギが印象的。クラシカルでアコースティックなムードが和っぽいarrと相まってなかなか素晴らしい。一方デモでは少女のような歌声が(3年前だが)ひときわ清楚なムード。こちらは小宮康裕、徳武のgをフィーチャー。"愛は幻"もシュガー時代のナンバーでここではセンチの中野督夫がgで参加。坂本龍一らしいアブストラクトなarrの"Wander Lust"も異色作。バックは斉藤ノブと坂本を加えたシュガー。シンプルな"街"は、軽いボッサ風のもので細野晴臣が叩くglockenが耳に残る。コーラスは達郎。タイトル曲の"When I Met The Grey Sky"も"One's Love"風のもの。こういうのは苦手。ラストは"Breakin' Blue"というインストで坂本龍一が大活躍する。ボーナスは3曲で後1つはシングル曲"明日からドラマ"('77)で、なんでこんな地味なナンバーをシングルに選んだのか?というのは長年の疑問。arrは松任谷正隆
原盤/パナム/クラウン:GW4023。