#3スナフー


■Snafu
前回の続きみたいなところだけど、ホワイトスネイクそのものにはそれほどの思い入れはないけど、カウボーイ・ハットをかぶったスライド・ギタリストのミッキー・ムーディーの姿は、70's末には異彩を放っていた。デイヴィッド・カヴァーデイルの最初のソロ「Whitesnake」から参加してる人で、日本ではほとんど無名な存在。元ジューシー・ルーシー〜スナフーとか言ったって、当時は何の効力もなかった(今でもか)。ジューシー・ルーシーは今では英国スワンプと称されているが、早い話が南部的なフィーリングを持ったブルーズ・ロック。メンバーの出入りが非常に多かったが、解散後ムーディーが結成したのがこのスナフー。後にインタヴューでオールマン・ブラザーズみたいな事がやりたかったと語っているけど、当時の英国では珍しいストレートなサザン・ロック・スタイルだし、更に同時代の黒人音楽(ブルーズやR&Bではなくニュー・ソウル)からの影響も受けている。
メンバーは初期のプロコル・ハルムのdsだったボビー・ハリソン(vo)、パラディンというラテン風味のハードロック・バンドにいたピート・ソリー(kb,fdl)、マーク=アーモンド周辺のセッション・マン、コリン・ギブソン(b)、ムーディーとはトラムラインというバンドで一緒だったテリー・ポップル(ds)の5人。
73年に出たファースト「Snafu」は水牛が耕す奇妙なイラストのジャケット(ロジャー・ディーン)で、当時日本では全く紹介されることがなかったのも十分頷ける内容。つまりはハードロックでもプログレでもない、ブリティッシュ・ロックとしか言いようがないバンドは、レコード会社(フォノグラム)も売れないと判断したんだろう。リリースはWWAというヴァーティゴ傘下のレーベル。演奏は、ムーディーのスライドの入ったサザン・ロック風のもの、ソリーのfiddleの入ったカントリー・ホンクなもの(決してカントリー・ロックには聞こえない)、ファンキーな味付けのものに分けられるが、彼らの真骨頂は3番目のタイプだろう。ソウルからの影響を受けたエレピと繰り返されるワウワウが印象的な"Goodbye USA"、"Drowning In The Sea Of Love"(ジョー・サイモンのカヴァー)は、異様な迫力がある。
奇妙なバンド名はSituation Normal All Funked Up(第二次大戦の前線兵士でのスラングで、「大混乱」の意味)から成る。ちなみのセカンドは「Situation Normal」、サードは「All Funked Up」という、何も考えてないぶりも楽しい。僕が初めてこのバンドの音を聞いたのは、80'sの半ば上京して下北フラッシュで「買い付け」したボロい米盤LPだった。その後独RepertoireからCD化、現在はファーストはセカンド2in1で英Angel AirからCD化されている。
バンドは3年活動したが売れなかったことを理由に解散。ムーディーはそのままカヴァーデイルの元に。ソリーも一時期ホワイトスネイクのメンバーだったこともあるが、その後プロデューサーに。ハリスンは、ノーバディー・ビジネスに参加する。
定番度■ 偏愛度■■■■