#1南から来た男(ロアルド・ダール/田村隆一訳)

あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))
「奇妙な味」と言われるジャンルがある。読後にストレンジな味わいを残す短編(が中心)を指して、ミステリ、サスペンスからSF、ファンタシーさらに純文学まで幅広い。その代表選手がウェールズ出身のノルウェイ系英国人作家ロアルド・ダール。最近は映画化された「チャーリーとチョコレート工場」で有名になったが、短編集「あなたに似た人」(ハヤカワミステリ文庫)はこの種のジャンルの代表作として挙げられる。その中から「南から来た男」。
ネタバレしないように書くと、

主人公の「私」はホテルのプールサイドで、ひょんな事から、外国訛りのある老人とアメリカ人海軍の若い士官候補生との間の「奇妙な賭け」のレフリーをつとめる事になってしまった。その賭けとは士官候補生のライターが10回連続で着火できれば、老人の所有するキャディラックをあげ、一度でも点かなければ、老人が士官候補生の小指を切り取るというルールだった。老人の部屋で、左手を机に括り付けられ、肉切り包丁を手元に賭けは続けられる。7回までは難なく着火したが・・・

最後の行であっと言わせる、と書くともう最初に最終行を読みたくなってしまう自分がいるけど、映像化もされている有名な短編なんで、興味ある方は本屋でどうぞ。手っ取り早くは、ここで。
ちなみにその老人はクリストファー・クロスではない(^^;;