■Come Taste The Band:Deep Purple

Come Taste the Band
今更何を言うかのアルバムで、パープルのアルバムでは一番好きなものの1つ。リリース当時は黙殺された1枚だけど、近年は再評価著しい。そもそも前作「Stormbringer」でのファンキーな音に嫌気がさしたリッチー・ブラックモアが脱退。その後ジェームズ・ギャングのトミー・ボーリンを加えて制作されながら、日本ではブラックモア人気が絶大なため、まともな評価をされなかった。おまけに75年の来日公演ではボーリンの怪我の為満足なプレイが出来なかったこともあって、「Last Concert In Japan」は、長年パープルの汚点として語られてきたものだった。さて僕はまず、カセットそしてLPを購入したこともあって、長年耳になじみまくってるアルバムだったけど、拡大ヴァージョンを待ちつつ、紙ジャケが安かったのでついつい買ってしまった。捕足されたライナーはBURN誌の酒井康氏ながら、非ハードロックの分野で再評価を受けている事を、「歪んだ評価」とし困惑する様がなかなか痛々しい。
ステージでは一度もプレイされなかったという"Comin' Home"は、素晴らしいハードロック・ナンバーで、ボーリンのgスタイルが、前任者と全く違うタイプであることがわかる。小品ながら"Lady Luck"と"Love Child"もよくできたファンキーなナンバー。グレン・ヒューズのbがグイグイと引っ張る。そのヒューズ色が濃いファンク・チューンが"Gettin' Tighter"で、ボーリンのリズムgも心地いい。サビの部分はすティーヴィー・ワンダー風。泥臭いスライドをたっぷりフィーチャーした"Dealer"ではボーリンの歌もフィーチャー。まるでパープルらしくないと言われそうな"I Need Love"、"Drifter"もいい。ヒューズが歌う"This Time Around"は、ジョン・ロードのpianoとsynをバックにしたもので後半のインスト"Ode To G"では熱っぽい演奏が聞かれる。ラストはシングルになった"You Keep On Moving"だが、これはシングル向きではないなあ。