sunday#3

This Was 日曜日の印象
■My Sunday Feeling / Jethro Tull
ジェスロ・タルも苦手なバンドの一つです。例によって渋谷陽一氏の番組でかかった「Heavy Horses」('78)からの曲が最初の体験ですが、ちょうどのトラッド色がわりと濃かった時期でしたが、ベスト的な選曲のライヴ「Burstin' Out」はまったく面白くなかった覚えです。その後しばらく離れていて、90'sに入って、ひょっとしたら面白く感じるようになってるかなあ?と思ってファーストやセカンドの「Stand Up」を買いましたが、あまり面白くは思いませんでした。その評価は今も変わっていませんが、日本でも一部にかなり熱心なファンがいますね。さて代表作の「Thick As A Brick」や「Passion Play」は長尺というだけで今でも避けてますが、「演劇性の強いステージ」と聞いただけで腰が引けてる自分がいることも確かです。
18世紀の実在した農学者からバンド名を取ったジェスロ・タルは、68年にIslandからデビューしていますが、中心人物のイアン・アンダーソン(vo.fl.kb)の同級生でありマネージャーのクリス・ライトが設立したChrysalisから後に再発されています。このデビュー作「This Was」はアンダーソン、ミック・エイブラハムス(g,vo)、クライヴ・バンカー(ds)、グレン・コーニック(b)のメンバー4人が老人に扮装し猟犬と納まるジャケットがなんとも風変わりですが、67年からの未曽有のブルーズ・ブームに乗っかる形でイギリスでは#10まで上がるヒットとなりました。よく言われてるようにジェスロ・タルの本質からはやや外れたブルーズ・ロックな1枚です。とは言ってもジャズっぽいコード進行が"Dharma For One"や"Serenade To A Cuckoo"(これはズバリローランド・カーク曲なのですが)で見られたりと一筋縄ではいきません。ブルーズ・ロック・サイドでの主役はgtrのエイブラハムスで*1、リリース後間もなく脱退、sax.fl奏者のジャック・ランカスターをフィーチャーしたブロドウィン・ピッグを結成しますが、こちらはよりブルージーながら、タルっぽさがあったりもします*2
Ahead Rings Out

この"Dear Jill"はなかなか渋い名曲。

日本盤LPの邦題にもなった(「日曜日の印象」)、"My Sunday Feeling"は、中々切れ味が鋭いブルーズ・ロックで実際に動画を見るとなんともアンダーソンはせわしない。カカシと言われた片足のプレイもまたインパクト大です。

70年のワイト島・フェスなので、gは後任のマーティン・バレです。

その後メンバー・チェンジを繰り返し現在までジェスロ・タルの活動は続いているのですが、3枚目の「Benefit」後コーニックが、4枚目の「Aqualung」後バンカーが辞め、オリジナル・メンバーはアンダーソンのみとなり、タル=アンダーソンの図式がますます確立されてゆきます。コーニックはワイルド・ターキー*3で2枚、パリスで2枚*4アルバムをリリースしています。
Battle Hymn
バンカーは74年に再結成されたブロドウィン・ピッグに参加後、スティーヴ・ヒレッジ・バンド*5を経て、元マンフレッド・マンズ・アース・バンドのミック・ロジャーズ(vo)、元キャラヴァン、クオンタムジャンプのジョン・ペリー(b)、元ブロドウィン・ピッグのランカスターとアヴィエーターを結成して2枚のLPをリリースしています。
またエイブラハムスは、ピッグ解散後ソロ「Mick Abrahams」('71)をリリース、近年の活動は知りませんが、結構な枚数のCDを残しています。
MICK ABRAHAMS (3 COPIES)

*1:クリームもカヴァーしたtradの"Cat's Squirrel"を取り上げ、張り合っています

*2:BPのファースト「Ahead Rings Out」のヘッドフォンをしたブタのイラストは、大昔下北沢のフラッシュ・ディスク・ランチの壁に描かれてた事を覚えてる方いますか?

*3:アイズ・オブ・ブルーのゲイリー・ピックフォード・ホプキンス(g,vo)をフィーチャーしたハードロック4人組

*4:フリートウッド・マックのボブ・ウエルチ(g,vo)を中心としたハードロック・トリオ。日本では新世代のゼッペリンとばかり渋谷氏が大騒ぎしてそこそこの人気を誇ったけど、本質はもっとポップな感じでした

*5:「Live Herald」に一部音源が残されています